ミスターと私の秘密。*私を捕まえて*(短編)

猫野 尻尾

第1話:ミスターと私。

私は大学二年生、現在、華の19才・・・女子真っ盛り& 密かに発情期。

名前は「雨野 雫あまの しずく


そして私のラブな人は大学教授。


名前は「水田 論利みずた ろんり」現在45才。


今のところミスターは彼女、奥さんはいない独身貴族・・・貴族ってほど上品

でもない。

彼の専門分野は生物学。

タバコもお酒もたしなまない・・・でもってギャンブルもやらない。

とりあえずロクデナシ&ダメンズの部類には属さない。

唯一の趣味ときたら私の嫌いな昆虫採集。


彼は苗字が水田だから学生からミスターって呼ばれてる。

で、そのミスターと私の歳の差は26才差。


ミスターは決していい男でもない・・・髪はいつもモジャモジャだし無精髭は

生やしてるし近眼だし・・・ぶっきらぼうで校庭を猫背で歩いてる。

しかも私より背が低い・・・163.6センチ・・・私は168センチ。

そんなおじさんになんで私のような華の乙女が魅力を感じたのか?


私は金田一耕助みたいな男性が好み、めちゃタイプ。

架空の人でも陶酔するくらい大好き、現実にいたら絶対会いに行く。

インバネスを羽織って、ボロボロの旅行鞄を下げて立ってる姿なんかノスタル

ジックすぎて哀愁さえ感じる・・・もう濡れちゃう。

もし会えたら絶対彼氏になってもらう。


そんなミスターはまじ金田一耕助なイメージ。

あくまで私が作り出したイメージだけどね。


そしてミスターは、たまに笑うととても可愛いの・・・。

無精髭剃ったら、それでもいい男になるんだけど・・・。

無精者だからね、剃らないのよね。

ヘア・サロンとかも行かないし・・・。


で、どうしてミスターが私の彼になったのかについてだけど。


それはある研究課題でどうしても分からないことがあったのでミスターの

教員室を訪ねたの。

それからたびたびミスターのところを訪ねるようになって彼のマンションにも

幾度かお邪魔するようになったのね。


私は密かにミスターを狙っていたけどミスターは私のことはただの生徒だと

思ってたらしい。


で私は満を持して彼に告白したの。


「私とお付き合いしてください」って・・・。


そしたら彼、狐につままれたような顔して、しばらく私の顔を見て笑い出したの。


「なはは・・・劇的な告白だと思うけど・・・僕をからかってるの?、雨野君」


「からかってません・・・真剣です」


「あのね・・・僕なんかよりもっと若くて魅力的な若者が周りにいるでしょうが 」

「なんでわざわざ僕なの・・・」


「私は教授が、ミスターが好きなんです」


「困ったね・・・悪いことは言わないからさ、考え直せない?」


「私のこと嫌いですか?」


「いやそういうことを言ってるんじゃなくて、釣り合いが取れないだろって

言ってるんだよ 」

「歳いくつ違うと思ってるの?」


「そんなの関係ないです」

「誰かを好きになるのに歳なんか関係ないと思います」


「うん・・・まあ、そう言われると、とくにこれと言った障害はないけどね」

「本人たちの意識の問題になるとは思うけど?」


「それにお互い独身同士ですし、浮気でも不倫でもないでしょ?」

「正しい恋愛です・・・だから付き合ってください」


「あのさ、後悔されたあとじゃ遅いと思うから聞くけど本当に僕でいいの?」


「いいんですミスターで、って言うかミスターじゃなきゃダメなんです」


「そう・・・どうしようかな?」


「なに迷うことあるんですか?」

「こんな可愛い乙女が彼女になりたいって言ってるんですよ」

「私をフったら人生、100年分損しますよ」

「私が嫌いじゃないなら、問題ないじゃないですか?」


「それは、よ〜く分かるんだけどね、正直言うけどほんとは僕、若い女子

苦手なんだな・・・」


「そうなんですか?・・・じゃ〜私を彼女にして、その苦手意識、克服すれば

いいじゃないですか」


「お〜前向きな意見・・・なるほど・・・理屈だな・・・」


「ミスターが嫌だって言っても、私、絶対諦めませんから・・・」


「冷静かつ前向き&ポジティブ、めげない・・・少々じゃ動じない子だね、

君って・・・」

「分かった・・・じゃ〜君の好きにすればいいじゃない?」

「そのうち僕に飽きるから・・・人はいつかは物事に飽きるもんだよ、雨野君」


「飽きません・・・今後は私の好きにさせて頂きます」

「それで・・・あの〜ひとついいでしょうか?」


「衝撃的告白以外に、まだなにかあるの?」


「あの私が今住んでるマンションですけど・・・出るんです」


「出る?・・・・あ〜僕のマンションも出るよ」


「え?ミスターんちも出るんですか?」


「夜中に台所に言って電気をつけるとね、壁にへばりついてるの、ゴキが・・・」


「え、ゴキ?・・・」


「違います・・・私のところに出るのは幽霊です」


「幽霊・・・それはまた・・・霊感強いんだね、雨野君」


「だから私、他のマンションに引っ越したいんです」

「で、よかったら図々しいですけどミスターのマンションにお引っ越し

させてもらてもいいですか?」

「私のぶんのお家賃はちゃんと払いますから」


「え?僕んちへ来るつもり?、付き合ってって告った、すぐあとに?」


「ご迷惑でしょうか・・・私、料理の腕はプロ並みですから便利ですよ」

「置いといたら重宝しますよ」


「そうなんだ・・あ〜まあ、幽霊が出るってんならしかたないかな」

「じゃ〜来てみる?僕んち」


そして私はミスターのマンションへ住みついてしまったの。

幽霊が出るなんて、まったくのウソ・・・ミスターと同棲したかっただけ。


少し強引だったけど、私の思惑通りになった。

ミスターはちょっと迷惑そうだったけど、そんなことお構いなし敵の懐に

入ってしまえばこっちのもの。

これから私とミスターのスイートラブな物語がはじまって行くの。


つづく。


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