unbalance
@paranoia_777
第1話 偽善者
ふぅ、やはり上官の部屋に行くときはどうしても緊張してしまう。まだ隊のトップなんていう感じがしない。本当に俺なんかで...なんてネガティブになりつつ、上官のドアを叩く。ドアの横には軍事最高司令室と大きく書かれていた。
「失礼します。本日づけで第一大隊、
「おお〜よく来てくれたね!」
顔を上げると、奥の大きい椅子に
ーーー玲音・現軍事最高司令官、初の女性、10代で軍事部門トップになった本当の天才。誰もが憧れるような体型であり男性人気も高い。
「どう?新しい職場は?」
「いやぁ推薦してもらってあれなんですけどまだ慣れてなくて」
「まぁ最初は誰だってそうだから!」
近況報告をざっと済ませて話は本題に入っていく。最高司令官からの直での呼び出しからするに⭐︎7以上の任務が言い渡されるのは言うまでもないだろう。
「それで今回はなんの任務で?」
「そうね、早速だけど2年ぶりに例の組織が動いたのは知ってる?」
「例の組織って黒の執行人・通称BLACKですか?確か2年前の
「それが動いたのよ。一か月前、
「それじゃあ、BLACKの壊滅任務ですか?」
「そう、あいつらはやりすぎた。ゆえにあの腰の重い上も組織の完全壊滅に乗り出したんだと思う。幸い、BLACKはさきの聖戦で戦力が半分以上削られた状態だ。隊長に着任して初めての任務にしてはかなり難易度が高いが、ジン、任せたぞ。」
「了解です。初任務必ず成功させてみせます。ちなみに⭐︎いくつなんですか?」
少し沈黙が走る。それは生きて帰ってこれないかもしれないと遠回しに表現しているかのようだ。
「⭐︎9...最高難易度の...一歩手前だよ...。」
ーーーガチャッ「失礼しました」と僕は部屋を出ていく。そして無駄に長い廊下は暗くこの先の未来を暗示してるかのようだった。
ーーーーーーーーーーーー
ふぅ、またため息が出た。第一大隊本部に戻ってきてすぐに自室に引きこもった。まだ新しい匂いのする部屋は、どんよりとした重い空気でいっぱいになっていた。
➖世界均衡システム統帥機関「Babel」➖
世界のいわゆる光側勢力と闇側勢力の
考えたことはあるだろうか?なぜ、第二次世界大戦後、枢軸国の3国は解体されずに今まで残され続けたのか、なぜウクライナ侵攻ですぐにロシアはウクライナを支配できなかったのか、なぜ日本は中国にもソ連にも近かったのにも関わらず革命が起こらなかったのか、
これら全てに均衡システムが働き世界は守られているのだ。
絶対的、恒久的平和を掲げる光側に傾くと世界は平穏になるが愚かな人間はすぐに争いを始めたがり、それは過去、類をみない大きなものとなるだろう。逆に闇側へと倒れてしまったら、秩序はなくなり世界はやがて混乱する。
それを僕たちはいい塩梅で調整し保つ。世界の均衡を保つためなら光にでも闇にでもなる。そしてちょうどいい世界を作り上げる。
...そう、僕たちはただの【偽善者】にすぎないんだ。
unbalance @paranoia_777
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