気にかけてくれる人がいるという幸せ
「自分が消えても消えなくても、世界は変わらず回り続ける」
中学生のころ、突然それに気づいた。それまでは、自分が主人公の世界の中で生きていると思ってたから、よく周りからも【王道の主人公タイプ】だと言われていた。
「そりゃ自分が主人公の世界に生きてるんだから当たり前じゃん」って、ドヤ顔かましてた黒歴史。でも、最初から気づいていた部分もあって。周りに凄い子たちしかいなくて、「よし! うまくできた!」って自信作あげても、隣の子の作品は神なのよ。レベルが違いすぎる。だから、どんだけ頑張っても、持てる力全部出しても、3本の指に入ることは叶わなくて。何をやってもそう。いつも、4番目か5番目。
学校っていう、小さい世界の中で一番にすらなれないのだから、だだっ広く続く空の下にいる人の中で、自分にスポットライトが当たる日なんて来るはずもない。
自分が消えても消えなくても、変わらず世界は回り続ける。それなら、いてもいなくても何も変わらないのでは……?
──その3ヶ月後、友人が他界した。事故に巻き込まれて、15年の生涯だった。
みんなから愛される才能を持ったやさしい子で、いつもニコニコしていて、こんな私のことを可愛がってくれた。友人の訃報を知り、ポロッと別の友人にこぼした。
「消えるのは自分で、あの子じゃなかった」
私の言葉を聞くなり、友人は泣き出した。と、同時にひどく怒り出した。普段、温厚な子だから怒るイメージが無くて、「え、え?」私はパニック状態で。涙でボロボロになった友人に怒られたのは、後にも先にもあの日だけ。
「バカじゃないの!? 消えていい人なんかいるわけないじゃん! アンタが消えたら、今目の前にいるアタシが悲しむよ! アンタと関わった人、みんな同じ気持ちだから! バカなこと言わないでよ!」
……あれ? 私は、やっぱり主人公だったのか。
正しい答えはないけれど、自分の人生なんだから、主人公は自分なのかもしれない。
有難いことに、関わった大半の方から気にかけて頂いてます。
「暗い顔してるよ。何かあったの!?」ちょっとした変化に気づいてくださる方がいたり、しばらく顔を出していなかった場所に現れたら、「元気だったの!?」と声をかけてくださる方がいたり。
もうね、みんなを自慢したいくらい。おかげで、私は幸せ者です。ありがとう。こんなに人で溢れてる世界なのに、気にかけてくれる人がいるなんて。そこらへんに咲いてる名も知らない雑草みたいなもんなのに。
足を止めて、話しかけてくれてありがとう。私も誰かにとってのそんな人になっていたらいいな。
あの子が生きるはずだった今日を私は生きてる。そのことを噛みしめて、私は今を生きていく。これから先もずっと……。
人間として人間くさい話をしようじゃないか。 望月おと @mochizuki-010
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