最推しが実は、クラスで大人しい地味っ子でした...

佐凪 夢兜<さなぎ むと>

☆新学期

「セオくん、今日も見てくれてありがと!! 毎日来てくれて、うれしいなぁ...」


画面越しに優しい声が聞こえてくる。藍色あいいろの髪の毛に黄色のひとみそして透き通るような優しい声、彼女の声に夢中になっていたら、もう夜遅かった...


「もう12時か、明日は、学校か...」


こんな時間まで推しに夢中になってるなんて、僕は本当に画面越しの彼女にぞっこんなんだろう。

僕がさっきから話している彼女は<樋泉ひいずみ ルナ>という名前で活動しているいわゆるVTuberってやつだ... 


「今日は、見てくれてありがと〜明日も見てくれると嬉しいです! じゃまたね~」


そんなこんなで彼女の配信は、終わった。「配信も終わったことだしそろそろ寝るか」

明日か念願??の高校生活が始まる。次の日、玄関にある写真立てに向かって、心の中で「行ってきます」と行って、登校した。学校の正門あたりまで来たところで、俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。


「よっ!!久しぶりだな、悠真ゆうま元気だったか?」


「おはよう、相変わらず朝から元気だな お前は...」


「朝から元気に行かないとな!それよりさ、昨日のルナちゃんの配信見た?」


「当たり前だろ。最推しだぞ、見るに決まってんだろ、めっちゃ面白かったよ」


こんな感じで朝から俺と会話してるのは、親友の"倉橋花満くらはし はなみち"通称みっちーだ。正門を抜けて、教室に着くとだいたいの人がもう席に座っていた。

心の中でひっそりと「俺だけ遅刻みたいじゃねぇか」と思いつつ席についた。

席について何分か立った頃、担任であろう人が教室に入ってきた。

担任であろう人が入ってきた瞬間、クラスの女子達がざわざわとなり始める。たしかに男の俺たちから見てもめちゃくちゃかっこいい人だった。


「今日から君たちの担任の”立花雄飛たちばな ゆうひ”だ。よろしく、それじゃ朝のホームルームを始めよう。」


真っ白なシャツに赤いネクタイをつけた、高身長な担任がそういった。ホームルームが終わると一人ひとりの自己紹介が始まった。俺は、中間くらいのところで少し緊張した。中には、喋るのが苦手な人、めっちゃ喋る人とかがいた。代表例でいうと、みっちーとかみっちーだ。気づいたら俺の番がきてた。


「北中から来ました。"瀬尾悠真せお ゆうま"です。好きなものは、音楽を聞くことです。よろしくお願いします。」


もう何分か経って、自己紹介の時間が終わったときに担任が今日いない人の名前を言ってた。


「今日は、家の用事があり学校に来ていないが和泉妃夏いずみ ひなさんがいるからちゃんと声をかけてあげるように... 場所でいうと瀬尾の隣だ。」


入学初日から欠席かよと思ったけど、そこまで気にはとめなかった。この日は、学校の説明とか校舎案内を受けて、一日が終わった。下校中に思い出したが和泉妃夏という名前は、なにかどこかで聞き覚えのあるような気がした。

新学期一日目は、ちゃんとクラスメイトと接することができて、いい印象にはなったと思っている。正直自身はないけど...

そんなこんなで一日が終わった。

下校中に"聞き覚えのある声"がしたが、その時の俺は、あまり気に止めずそのまま帰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最推しが実は、クラスで大人しい地味っ子でした... 佐凪 夢兜<さなぎ むと> @Srictyia

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る