第50話


「また増えた!」

「そうだな。今回は3人だ」

 とりあえず服は間に合わせたので大丈夫なのだが、

「で?何でユウにべったりなの?」

「それは知らん!と言うかそろそろ離れてくれるか?」


「「「はい」」」

 とようやく少し離れると、

「悪いが若槻さんを呼んでもらえるか?」

「はい!少々お待ちください!」

 と急ぐ受付のお姉さん。

 ベンチでジュースを買って待っているとようやく来た若槻さんに連絡したのは3人のことだと言い、いつものように精密検査などを受け、さやかに任せる形になった。


「悪いな」

「いいえ、でもこれ以上増えると」

「だよな。でももう捕まってる人間はいないようだ。増えることはないと思う」

「そうですか、なら良かった」

 ようやく俺も肩の荷が降りた。


 まぁ。魔王国のことはとりあえず様子見だな。菓子の製造工場のほうはまた今度だ。

 なんならジャガイモとスライサーを持って行って油で揚げるだけでポテチが作れると教えればいい。


 俺は疲れたので帰ろうとするが、

「ユウ!飲むわよ?」

「いや、俺は疲れたんだが?」

「だめ!どうせ帰って飲むでしょ?なら飲みに行くわよ?」

「…へーい」

 イロハに言われそれもそうだとみんなで飲みに行く。

 叶達三人娘とイロハ、ダナも一緒だ。

 もうヤケだな。

「「「「「「カンパーイ」」」」」

「んクッ!かはァー」

「で?今回はどうだったの?」

「今回はな…」

 としょうがないから話してやる。


「は?魔王?そんなのがいたの?倒したんでしょ?」

「なんでも倒したらだめだろ?」

「魔物の王よ?倒すべきでしょ?」

「はぁ、だから魔物も生きてるんだよ!街を作り人と同じようにな!」

「だからって」

「人間はもう食わないだろうな」

「え?なんで?」

 はぁ、ゆっくり酒も飲めないじゃないか!

 俺はプフのことなども話をすると。

「へぇ、じゃあ円満解決なのね?」

「まぁな、ただうまく行けばいいんだがな」

「ユウがそれだけしたんだからうまくいくでしょ?」

「さぁ、失敗もするだろうからそこら辺はフォローしていくしかないな」

 流石に手放しで喜ぶことはできないからな。


「そっか、魔王国がそれなら氾濫は起きない?」

「はずだな。あー、もう一度行ってダンジョンコアのことを聞かないといけないな」

 俺はビールのおかわりを頼むとメモを取る。

「私達も手伝うわよ?」

「ならお菓子の作り方なんかを調べてくれないか?スナック菓子なんだが」

「んー、わかったわ!とりあえずあたってみる」

「ふぅ、これでようやく飲めるな」

「はぁ、ならアメリカも大丈夫ね!」

「あぁ、スタンピートが起きなければ大丈夫だろ」

 と言ってビールを飲み干すと、酔いがまわってきたな。


 ようやく帰る頃になって、全員をタクシーで送る。

「じゃーね!」

「おう!」

 と叶達を送り、イロハとダナの3人になる。

「さっ、飲み直しましょ?」

「俺は疲れてるんだがな?」

「こんな美人2人に誘われてるんだからいいでしょ?」

「はぁ、まぁ少しだけな?」

 と言ってバーに行く。

「80階層から下はどうなってるのかしら?」

「それはわからないな」

「下はあったの?」

「いや、確認してないな」

「まぁ、もうないでしょ?」

「だな、魔王国がこれで自給自足してくれればあとはないな」

 と、ようやくバーでの飲みも終わってタクシーで2人を帰す。


 はぁ、

「ジブリール?これでいいんだろ?」

「フフっ、流石です。これであとは人間だけですね」

「は?まだあるのか?」

「私は神の言葉を伝える役目ですから」

「人間?もしかして」

「はい、80階層以降は人間の国ですね」

「それはその人間に任せられないのか?」

「そうですね、それでもいいと思いますよ」

「…はぁ、何かしら問題があるのか」

「はてさて、これからも頑張って下さいね」

 ジブリールは消えていく。


「はぁ、人間をどうこうしようなんてのは俺には無理だぞ?」


 同じ人間なんだからな…


 とりあえず家に帰って寝る。

 頭の中はグチャグチャで整理はついていないからもう寝るしかないな。

 ゆっくりと息を吐き眠りにつく。


 次の日はサヤカに起こされた。

「どうした?」

「あの、アンさん達が」

「ご主人様!何でもしますから!」

「私達を捨てないで」

「あなたの元に置いてください!」

 と懇願してくる?


「は?いやいや。お前たちは普通に暮らしていけるんだぞ?いちいち奴隷に戻ることないだろ?」

「私達は助けられました!貴方様のもとで何でもしますから!」

 そう言われても俺は1人がいいからな。

「まぁ、待て。お前たちは自由になったんだから奴隷になってもしょうがないし、ここは奴隷はいない」

「そ、それでも」

「禁止されてるからな?俺が捕まってしまうよ?」

「は、はい」

「よし、落ち着いて、いまから君たちは自由だから悪い事以外なら何をやってもいいんだから」

 そう、この子達には未来がある。

「そうだ、じゃあ服でも見に行こうか?プレゼントするよ」

「行きましょう!ね!それじゃあ下で待ってますね!」

「おう!」

 サヤカもとりあえず話に乗ってくれた。

 3人は赤毛の素朴な顔立ちのアン、金髪の綺麗な顔立ちのソニン、茶髪で胸の大きなモニカだ。

 カタリナ、セシリア、ツクヨもついてくるのでみんなで買い物だな。


 3人は歩いて見て回るのが初めてで、色々とサヤカに聞いている。

「ツクヨ達は何階層まで行ったんだ?」

「まだ20階層です」

「そっか、これからだな」

「はい!」

 と喋りながら服屋に行くと俺は財布だからさやかに任せて3人の服を買っていく。

「セシリア達も見てきていいぞ?買ってやるから」

「いいえ、私達は十分買ってもらいましたから、今はお金もあるんですよ?」

「へぇ、そっか!なら好きなものを買えるな!」

「はい!」

 と言って3人を待つ。

 どうやら結構買ったようだな。まぁ、カードで支払ってるから別に値段は気にしないが。

「「「ありがとうございます」」」

「どういたしまして」

 そのあとは髪も伸び放題だから美容室に連れて行ってもらいカットしてもらう。


 3人とも見違えるほど可愛くなったな。

 

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