第35話
みんな揃ってるので今のうちに聞いておこう。
「ダナにお返ししたいんだが、何がいいだろうか?」
イロハに聞いてみる。
「なに?お返し?」
「セシリアとカタリナが世話になったんだよ」
「そうねぇ?バッグとか?いや、一緒に買いに行った方がいいわね」
そりゃそうか、好きなものはな違うしな。
「そうか、そうするかな」
「セシリア達も一緒に連れて行きなさいよ?」
「ん?わかった」
そうだよな、2人にも案内してやらないとな。
「それよりお酒がもうないんですけどー?」
と叶が冷蔵庫を開けて言う。
「飲み過ぎだろ?一箱はあったぞ?」
「いや、この人数で飲めば無くなりますよ?」
と言われればそうだよなぁ。
「ったく」
インベントリからだして冷蔵庫に入れていく。
「凄いね!やっぱインベントリは!」
「まぁな、楽だからなんでもいれてるからな」
「あ!肉食いましょうよ!焼きましょうよ!」
と肉好きのクリスが言うが、
「やだよ!ウーバーで今日はいいだろ?」
「ぶー!しょうがないなぁ」
と杏がウーバーを頼む。
「それにしても聖女と戦士ねー、勇者は?」
「殺されたらしい」
「…そう」
と、イロハも静かになるが、
「まだたくさんの捕まってる人がいるかもしれない」
「いやいや、全員助けるつもり?」
「俺が出来る限りだな」
そうだな。出来る限り…この手が届くかぎりは。
「はぁ、ソロなんだから気をつけてよね?」
「分かってるよ」
ソロだから出来ることなんだよな。
「さぁ、飲も飲も、ってカタリナ食べ過ぎ!」
「ん?なんか言ってる?」
と???顔のカタリナに、
「あはは、食べ過ぎだってさ!」
「食べちゃダメか?」
「いいよ?食べちゃいなよ」
「うん!美味いなこっちの食べ物は!」
と笑顔で食べ尽くすカタリナ。
「そうですね!美味しいです」
セシリアもカタリナもよかったな。
みんな食べて飲んでようやくタクシーでみんなを返し、セシリア達はサヤカと一緒に帰って行った。
ふぅ、ようやく1人になれたな。
今回は2人を助けるためとはいえ結構危なかったな。
返してもらったイヤーカフは予備として持っておこう。
助けられたから良かったが、行き当たりばったりは体がもたないな。
知らぬ間に寝ていたようで、起きて朝から片付けて掃除をする。
今日はダナと買い物に行こう。
電話をして今日の待ち合わせは昼にギルドだ。
着替えて隣のインターホンを鳴らすとサヤカが出てきたので2人も連れてギルドまで行く。
「なんだ!2人じゃなかったのね!」
といつもよりオシャレしたダナは怒っていたが2人でそんな格好で会ったら緊張してしまう。
「あはは、綺麗だよ!」
「口がお上手で、さぁ、行きましょうか!」
「バッグかなんかを買ってあげたいんだが?」
「それなら別に持ってるからいいわ!それより遊びに行きましょ!」
と手をひらひらさせるダナは遊びに行くと言って歩きだす。
「そうか、そうだな!」
「そっちの人は?」
「本部から来たサヤカだ」
「よろしくお願いします」
「よろしくね!」
かなり目立つ5人で移動する。
渋谷に行ったりするとセシリアとカタリナは目が点になっていたな。
服や靴、バッグに財布まで色々と買ってやる。必要なものだからな。
スカイツリーにも登ったが、セシリアとカタリナは怖がっていたし、ダナはそれを見て笑っていたな。
電車も初めて乗ったので怖がっていたし、初めてだらけの東京を満喫出来たようだな。
最後はゆっくり出来る鉄板焼き屋だ!
オシャレなディナーがいいと思ったがマナーを知らないのでここになった。
「悪いな、マナーを知らないから勉強するよ」
「いいわよ?ここも日本独特で楽しいもの!」
「カタリナ達もここで良かったか?」
「私達はどこでもいいわよ!最高に楽しかったし」
「はい、ビックリするものばかりでとても楽しかったです!」
「そうか、それは良かった」
「サヤカもお疲れ様」
「はい、みなさんパワフルですね?私は疲れましたよ?」
「あはは、ありがとうな」
いろんなところに行ったからたしかに疲れたな。
「「「「「カンパーイ」」」」」
「今日はお疲れ!」
鉄板焼き屋でもんじゃを食べたりみんなでワイワイ楽しんだ。
「それじゃあおやすみな!」
「ありがとう!サイコーの1日だったわ!」
「おう!じゃーな!」
とタクシーに乗せてダナは帰って行った。
「あー楽しかった!」
「そうですね!」
カタリナとサヤカがそう言って笑っている。
「私達だけがこんなに幸せでいいのでしょうか」
「死んだ仲間のことか?」
セシリアと2人並んで話しながら歩く。
「はい、みんなそれぞれ命をかけて魔王に挑み、敗れてしまいました」
「そりゃ生き残ったもんがそいつらの分も背負って生きていかないといけないが、そいつらの分も楽しまないとな?」
背負っているのは誰もが言わないだけで必ずあるからな。
「…そうですね、ありがとうございます」
「そいつらに会った時に幸せでしたって言えるようにな!」
「はい!」
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