第31話


「あ、兄貴ぃ!」

「呼ぶなって言ってるだろ?それよりちゃんと髪は元に戻してきたな!そこは偉いぞ」

「はい、でも訓練が…」

「それはしょうがないだろ?」

「鬼教官が…」

「それもしょうがない」

 こいつが冒険者になるって言ってんだからな。

「ヒロシはいるか?」

「ぎゃーーー!」

「おっいたいた!いくぞ!今日も楽しい楽しい訓練だ!」

「いーやーだー!」

と連れて行かれたな。

 まぁ、がんばれよ。


 さて俺もダンジョンに入るかな。


 今日も61階層から入っていく。

 太陽が紫なのが気に食わないがまぁしょうがないな。

 イヤーカフをつけて街に入る。

 街の中はケンタウロスの親子が遊んでいたり、オークの老婆が商売していたりとやはり生活があるようだな。


 こうみると人間の街と変わらないが、歩いているのはすべてモンスターだ。


 冒険者ギルドもあるようで中に入ってみると受付をしてみる。

「冒険者ね、これ買いて」

 名前はユウで得意武器は剣だな。

 

 案外簡単に冒険者になれたので依頼を見てみると人間の捕獲などがあったりする。その他にはドラゴンの討伐なんかもあるな。

 結局は見た目が違うだけで殆ど人間と変わらないんだな。


 そういえばステータスを最近見てなかったな。

 ステータス、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

相葉 優アイバ ユウ 33歳

 ベースレベル99


 ビルダーLv99

 剣士 Lv99

 錬金術師Lv85

 大魔導士Lv76

 


 スキル

 S構築、S分解、A剣術、S神眼、S錬金、B集中、B修得、S神速、S魔法、A作成、A、異世界言語、A体術、A斬撃、A常温、SS神力、A烈空断、


 ユニーク

 インベントリ

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 レベルはもう上がんないのか?あ、あれ使うか。


 レベルスターフルーツを使った錠剤を飲むと体の中から焼けるような暑さが来て少し寒気がする。

 すぐに宿に向かい部屋に入ると横になる。

ステータスをみると100を超え限界突破の文字が付いていた。どうやら人間の限界は百だったみたいだな。


 と、どうやら眠ってしまったみたいだが今何時だ?

 外は相変わらず赤い月が登っていた。


 次の階層に行くため朝早く街を出て『神眼』で見ながら動くと、宝箱があったので罠を解除して開けてみる。

「まさかこんなところに宝箱があるなんてやっぱりダンジョンなんだな」

 中身は『ナックルガード』だった。肘あたりまでカバーするものでなかなかかっこいいな。

 インベントリに入れておく。

 次の階層まで急ぐが、人集りができていた。


「おい!なんで金払わなきゃなんねーんだよ!」

「だからここは俺たちが占拠してんだよ!通行料金貨一枚で通してやるって言ってるだろ?」

 男達は階段に蓋をしてしまい通れなくしていた。


「『エアカッター』」

 蓋を壊してやると、

「おらっ!なんでオメェらの言うこと気がねぇといけねぇんだよ!!」

「ま、待て!ここバブッ!」

 大量のモンスターに踏まれてそいつは消滅してしまった。

 残った男達は逃げていったので、ドロップを拾い、ゆっくりと下の階層へと降りていく。


 下の階層も荒地が続く、さっきのモンスター達は真っ直ぐに街に向かっているようだな。

 俺も街の方に行ってみる。

 こっちの冒険者証があったので門の中にはすぐに入れた。

 中を見て回ると中央に人が集まっていてそこでは競りが行われていた。

 奴隷の競りだ。

「さぁ、こいつらは勇者とか言って魔王様に楯突いた奴らの仲間だ!勇者は男だから食われちまったがこいつらは女だ!孕ませるもよし!少しづつ食うもよしだ!」

「お、おでがかうぞ!」

「俺だってこのために金貯めてきたんだ」

 そこには人間の女が2人吊るされていた。

 流石に見過ごせないか…『神速』を使い、縄を切って2人を連れて逃げる。

「あぁ!あいつが盗んだぞ!」

「ま、まてぇ!」

 流石に2人はきついがなんとかなるだろ!


 門も突っ切り上の階層まで行くと追ってきてる奴らはいなかった。

 縄を切ってやり自由にしてやると、

「な、何が目的です!」

「わ、私たちを解放しなさい!」

「はぁ、解放してるだろ?てかなんで捕まったんだよ?」

「え?」

 イヤーカフを外して見せる。

「に、人間?」

「そうだ、俺はこれで変装してるがお前らはどうやってここまできたんだ?」

「そりゃ、全部倒しながら」

「バカだな」

「なっ!」

 俺はイヤーカフを着けると、とりあえずマントを2人分出す。

「ほら着ろ、裸でうろつくわけにも行かないだろ?」

「は、はい」

「見るな」

「はいはい」

 と着せると話をする。

「お前たちの国はもうないぞ?」

「は?馬鹿を言うな!」

「あるかもしれないが俺は知らない」

「な、何を言っているのですか?」

「ふぅ、その階段を見ろよ?ここはダンジョンに飲まれた」

「「えぇっ!!」」

「ど、どうしましょう!」

「嘘だろ!そんなことって」

 2人は意気消沈している。

 1人は金髪碧眼で髪の長いお嬢様?

 もう1人は赤い髪で戦士のような佇まいだな。

「悪いが俺もそこまで詳しくないぞ?ここは魔王国で61階層ってことだ」

「そ、そんなに深いのか!」

「あぁ…」

「2人で行動するか、俺についてくるかだが」

「つ、ついていくしかないだろ!」

「そ、そうですね」

「分かったが、ひとつ俺たちの世界はお前たちの世界と違い奴隷なんてものはない」

「「え?」」

「悪いが考えを改めることができないなら連れていくことは困難だな」

「わ、わかった」

「分かりました」

「んじゃ俺の名前は相葉優だ」

「私は聖女のセシリア・メリダです。セシリアと呼んでください」

「私は戦士のカタリナ・バルバロッサだ。カタリナでいい」

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