第14話


 いつものようにギルドに行くと、

「やぁ!ユウ?」

「何だイロハか?どうしたんだ?」

 ギルドの中でイロハと顔を合わせる。

「今回のでギルドの職はやめて来たわ」

「あはは、それが良い」

「でしょ?私もあんな堅苦しいとこはごめんだわ!」

 ギルドの最高幹部だったのによく言うぜ。

「と言うわけでパーティー組まない?」

「んー、俺はまだソロでいいがな?」

「そんなこと言わずにさ」

「ちょーっと待った!パーティー勧誘はこっちが先です!」

「そうそう!」

 来たのは叶達三人娘だ。

「あら?いつからこんな可愛いお嬢ちゃんを?」

「はは、まぁ、色々な」

「それより30階層突破したんだよ!」

 と嬉しそうな叶。

「スキルがあれば楽チンだったよ!」

「嘘ばっかり!結構危なかったんですからね!」

 杏にクリスが突っ込む。

「まだ30なの?『お子ちゃま』ね」

「くっ!『おばさん』はどこまでいってるの?」

「まあまぁ。仲良くしろよ」

 と割って入るが、

「このクソガキ!」

「なによおばはん!」

 取っ組み合いの喧嘩になっている。


「止めなくていいの?」

「止まるか?」

「無理かもね」

 とりあえず3人で傍観した。


「「とめなさいよね!!」」


「「「おぉ」」」

 息ピッタリじゃないかよ。


「で?イロハはどこまでいったんだ?」

「ん?パーティーで50階層までいったわよ?」

「へぇ、やるじゃない!」

「まーねー」

 今は仲直りの証でギルドの外に出て来てケーキバイキングに来ている。

「うまうま」

「美味しいです」

「ユウはどこまでいったの?」

「ん?ソロで50」

「「「「ええーーー!!!」」」」

 と四人が叫ぶと周りの視線が集まる。


「さ、さすがね」

「ありえないでしょ?」

「レッドドラゴン倒したの?」

「あぁ。こっぴどくやられたけどな」

「だからあんなボロボロだったのね」

 そう、あの時はボロボロになってたからな。

「うー、じゃあA級?」

「ん?まだ申告してないからな」

「あはは、ユウさんっぽいですね」

「ユウはCでいいよー」

「な!上げると下がらないからな」

「あはは、そんなこと言うのはユウだけでしょ」

 と笑われてるが別におかしなことじゃない。

 級が上に行くほど重圧がかかってくるからな。


「まぁ俺はまだソロでいいから、何ならイロハがそっちに入ったら?」

「あ、それいいね」

「いれてくれるの?」

「いいよー」

「A級の動きを見て見たいですしね!」

 と言うわけでイロハは叶達の所に入った。


 ケーキバイキングが終わり、ギルドに戻る。

 様子見でダンジョンに入って行くらしく、俺はどうせ暇なので着いて行くことにした。


「な、何なのこの子達!」

「『瞬歩』おりゃ!」

「『斬撃』」

「『サンダーアロー』」

 おー。使いこなしてるね。

「な、なんでこんなAランクスキルを?!」

「ユウにもらったー!」

「ですね」

「ユウさんに感謝です」

「あ、貴方ねぇ!上げるのも大概にしなさいよ!」

「いいじゃねーか、これでお前も加わればまた50階層突破も夢じゃないだろ?」

「くっ!そ、そうだけど」

 使いこなしてるのは3人が努力したからだ。

 じゃないとこんな早くに使いこなせるようなもんじゃないからな。


「さて俺は『構築』でもしながらついて行くから頑張れよー!」

「「「はい」」」

「なに?『構築』?」

「まぁ、俺のスキルだから気にするな」

「…気になるなぁ」

 今履いてるのは普通のジーンズだから、黒パンツを直さないといけないんだよな。

「あ!イロハ!」

「はい!よっ!」

 イロハは確か魔法剣士だったが、ここら辺だと魔法を使う必要もないのか。

 それよりどの革を使って直すかな?やっぱり竜がいいよな。でも赤は嫌だし。

 やっぱり黒の革を使うか!

『構築』っと、なかなかいいんじゃないかな!

 まぁ。元が良かったからな。

「ねぇ!『構築』ってなによ?」

「ん?だからおれのスキルだ。俺は『ビルダー』だからな」


「なに、そのジョブ?初めて聞いたわよ?」

「まぁ、特殊なジョブだからな。それより3人に任せてていいのか?」

「あ、まぁ、あの3人にはここは簡単でしょ?」


「ジョブランクは?」

「S」

「は?そんなジョブなのにあんな会社にいたの?」

「そう、これでも苦労してんだぜ?」

「そ、そうなのね」

 3人は先に行くしイロハはついて回るから結局『構築』は後回しになった。 


「そんな『分解』と『構築』しかできないのにSなの?何か隠してるんじゃない?」

「お前はほんとに知りたがりだな?教えねーからさっさといけよ!」

「ふん!いつか教えてよね!」


ドロップを拾いながら後を追いかける。

 3人とも早くなったな!


 25階層で休憩だ。ジュースを出して渡してやる。

「ンクンクンクっパァーッ!!」

「3人とももう余裕あるな」

「そんなことないですよ?」

「『瞬歩』くたくたになるよ」

「『雷電魔法』も使い所が難しくて」

「そうか?上手いこと使ってたぞ?」

「えへへ」

 3人とも強くなっている。特に叶の『斬撃』は強力だな。

「3人ともAランクスキルホルダーで…あり得ないんですけど!」

「いや、あるからしょうがないだろ?」

「しかもそれをあげる貴方も貴方でおかしいのよ!」

「実際俺には要らないからな」

「あなたステータス見せなさいよ!」

「やだよ!ったく」

イロハは色々うるさいなぁ。

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