第33話 ドブネズミ

 ドリーム・タウンにある倉庫街の一角……。


「ぐはっ……」

 口から血を吐いたレイはその場に

座り込む……。


 一人では立ち上がることが

出来ず、黒服の男たちから

両腕を抱えられ立たされるレイ……。


 瞼は、腫れあがり、殴られた顔面は

傷だらけ。 

 彼のもとに、村山が歩み寄ると……

 「こんな、早々にやって来るとは……

一人なのか? ん? ヤツも一緒か?」

 村山がレイに聞いた。

  

 「……」

 何も答えないレイ。

 村山の隣に駆け寄って来た黒服の男が

 「村山さん、辺りくまなく探しましたが

ヤツの姿は見当たりません。

 どうやら、この男ひとりのようです」

 「そうか……」

 村山がレイの髪の毛を掴むと、

顔を引き寄せ、

 「おい、どこまで知った……」

と囁いた。

 「なんも、知らねぇ~よ」

 レイが呟いた。

 

 「村山さん、この男どうしますか?」

 黒服の男が村山に聞いたその時だった。


 「おや、おや、こんなところにドブネズミが

一匹紛れ込んでましたか……」

 村山と黒服の男が振り返ると、鬼神が立っていた。


 「K……、どうしてここに?」

 「村山、ネズミを捕まえたのなら私に

知らせるべきでは?」

 「すまない……わざわざ知らせる程の

ことではないと思って……」

  村山が鬼神に言った。

 「まぁ、あなたは私の有能な部下であり、

私の片腕、相棒だからな……」

 鬼神が微笑んだ。

 「で、コイツどうする? 殺すか?」

 「いや……、アイツへの見せしめのために

もっと痛めつけて捨てろ」

 冷淡な表情の鬼神が言った。

 「ああ、わかった」

 返事をする村山。


 ブブブ……

 鬼神のスマホのバイブ音が響く。

 内ポケットからスマホを取りだした

鬼神が画面を見ると、

 「おっと……、鈴香さんからの電話です。

では、私はこれで……」

 そう言い残すと、鬼神はその場から

立ち去った。


 残された村山は、黒服の男たちに

「この男を連れて行け」

と言い放った。

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