女神の手違いで死んだら、異世界に行けずに女神特典を持って生き返ったが、現実世界も問題だらけです

太朗

第1話 春休み初日

人は命の危機に直面すると頭の中でこれまでの自分の人生の記憶がよみがえると言われており、これは走馬灯と呼ばれている。今俺の目の前にはトラックが迫っていた。なんでこんなことになったのか俺は数秒前の自分を呪いたいレベルだ。


俺こと藤井 翔(ふじい かける)は昨日が終業式で中学2年が終わりを迎えて、今日から春休みに入ったのだった。そのため家でゴロゴロしようと思ってたら母の藤井 亜紀(ふじい あき)に暇してんなら買い物に行ってこいと言われ、しぶしぶ家を出て最寄りのスーパーに向かっていた。

「たく、買い物ぐらい他のやつに頼めよ。」と俺はぼやきながら道を歩いていた。

俺には兄の光(ひかる)と姉の天(そら)と妹の春風(はるか)がいて父親は俺が小学校の頃に離婚、それ以来あまり会ってない。

「まぁ、いつも頑張ってくれてる手前、文句は言えねえよな」

母は俺たち四人を一人で養っている。そんな母を見て育ってるので文句は言えないのである。

「は〜、早く買い物終わらせて帰ろ」

俺は急ぎスーパーに向かった。しかしスーパーの目の前の信号でそれは起こった。小さな女の子が信号が赤にも関わらず飛び出してしまった。それを見た瞬間、俺の体は勝手に動いた。

      「危ない」

俺は女の子の手を引き、自分と女の子の場所を入れ替え代わりに道路に出てしまった。そして目の前には猛スピードのトラックが迫ってきていた。その光景を見ながら俺の頭の中ではたくさんの思い出があふれていた。俺は気づいたこれが走馬灯なんだと。

次の瞬間、俺の体はトラックに吹き飛ばされた。

「きゃー」「子供がひかれたぞ」「誰か早く救急車を呼べ」「君大丈夫か」

周りからたくさんの人の悲鳴や怒号が聞こえる

でも体は動かないし、何も考えられなくて、すごく寒い、意識も遠くなっていく、これが死ぬって感覚なんだなと俺は思い、静かに意識を手放した。

中学二度目の春休みの初日に俺は命を落としてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る