第5話
圧巻だった。学校はまるで城のような作りになっていて、いかにも魔女が住んでそうな雰囲気のゴシック建築だった。屋根に溜まった水垢が、不気味さを増す。私は外にある掲示板を頼りに、試験がある教室に向かった。
教室に着くと、かなりの人数の受験者がいた。勉強している者、会話をしている者、寝ている者様々であった。年齢は様々であったがはほぼ私と同じ年齢であろう。私が最後に教室に入ってきた事により、皆私を凝視した。私は座席に着席した。人々が私を噂しているような目線で会話を弾ませていた。私は目を合わせないように、聞こえないふりをするかの様に、下を見ていた。足音が聞こえる。誰かが近づいてくる。
「よぉ!」亜麻色髪の少年が話しかけてきた。ニカッと笑っていた。
「君、珍しい髪色だね!」
「……ありがとう」
「名前はなんて言うの?」
「ひなt……ビクトリア。ビクトリアよ」
危うく本物の名前を言うところだった。
「へぇ……!いい名前だn」
「黒髪は災いを引き起こすと言われている。」
誰かが、会話に横入りしてきた。
横に流した金髪をポマードで固めているいかにもお坊ちゃんそうな少年だ。
「なんだよ、ビクトリアが悪人に見えるのか?」
亜麻色の少年がすかさず反論した。
「ボクはあくまでも傾向の話をしている。現在、この国を牛耳っている宮廷魔法使いや科学者は黒髪が多く在籍している。」
「着席して下さい」
老獪な女魔法使いの試験官が教室に入ってきた。
金髪の坊ちゃんは高貴な足取りで自席に戻って行った。
「ごめんな、なんも言い返せなくて……」
亜麻色の少年も自席に戻って行った。
「これより、第1921回、王立魔法学校入学試験を行います。午前中は筆記、午後は実技。不正行為をした者は容赦なく、追放致します。尚、午後にはグループワーク試験も実施されます。教室の外の掲示板にペアを記載してありますので、筆記試験が終わった後、各自確認して下さい。では、これより筆記試験を始めます。」
私は机に万年筆を出した。
プリントが配られる。結構分厚い。
「では筆記試験を開始して下さい」
私は問題に取り組んだ。
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