タヌキングが【終わりに見た街】を見た

タヌキング

タヌキングが見た街

 テレビドラマスペシャル【終わりに見た街】を視聴した。

 このドラマ子供の頃に中井貴一さんが主演のバージョンを見たことがあり、あまりの衝撃のオチに頭から離れないでいた。更に昔には私の大好きな【あしたのジョー】の力石役で知られる細川俊之さんも主演されていたそうなので、今回で三回目のドラマ化になる。

 なぜ三回もドラマ化したか?それは単に名作だからということでは無いだろう。戦争に対する意識の低い人々への注意喚起、国民の反戦に対しての決意を強固にさせるためでは無いだろうか?


 ドラマの内容としては現代の一家が家ごと戦時中の時代にタイムスリップ、一緒にタイムスリップした人の力を借りて戦争をやり過ごそうとする。大まかに言えばそんなストーリーだと思う。

 家は燃やされ、愛犬は殺され、認知症の祖母や、昔の記録を頼りに戦争中の日本に溶け込んで行く一家。

 途中、宮藤官九郎監督のユーモアも感じられたが、クライマックスになるにつれて自体はドンドン深刻になる。

 そして最後には安全だった筈の家が空襲の被害を受け、主人公は一人だけある場所に飛ばされてしまう。その時、最後に主人公が見たものは?


 私がこの作品で一番印象に残っているのは空襲前の家での話し合いのシーンである。大人たちが戦争を悪いと言っている中、子供達はすっかり戦争に染まり、どうしてお国の為にお父さんたちは働かないのか?と問う。

 このシーンは流されやすい人の心理を突いた場面であり、また戦争を過去のモノとして考える大人達と、今として捉える子供達のとの対比にもなっている。

 私はどちらかといえば大人側の意見に賛成であり、戦時中に巻き込まれたとはいえ、戦争に加担することには嫌悪感を抱く。この作品に登場する子供達はちゃんと反戦教育を受けたのか?周りが言うことを鵜呑みにして洗脳されてやしないかい?と苛立ちすら覚えた。

 

 この作品は二つの解釈をすることが出来て、一つは本当にタイムスリップした、もう一つは主人公が自分の終わりに見た夢という解釈である。

 私は後者の方がしっくりくる。だってあまりにも、ご都合的な展開があるし、一家が戦争に溶け込むのが早過ぎる。主人公の夢ならばそれも納得であるし、最後のシーンの訳の分からなさも緩和できるだろう。


 この作品からは反戦や戦争に対する危機感を煽る想いがヒシヒシと感じられ、やはり時代を超えて残されるべき作品だと思う。

 皆さんも、まだ未視聴ならばオススメなので見て欲しい。単に作品が面白いというだけではなく、平和な日本を維持するという観点からも見てくれることを願う。

 そうして反戦への想いが人から人に伝われば、日本が戦争を自分達から起こすことは半永久的に無くなるだろう……そう自分達からは

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