〖エピソード感想〗スキル【スキル】で最強になりました。/sun-333333さま 《1》

【1】◇「参加作」を読もうと思った理由:あり


 最も心を惹かれた部分は「あらすじ」ですね。一見すると、いわゆる「テンプレもの」のようにも思われるタイトルですが、あらすじを拝読させていただいた限りでは、しっかりと世界観を創り込まれているように感じます。そして、以前に感想を投稿させていただいた『神盟帳』が面白かったから、という理由もありますね。言うなれば「作者さまのファンであったから」といった具合です。



 こちらの作品はオプションに従いまして、以下には言及いたしません。


【-】◇「1話あたりの文字数」に対する感想:なし

【-】◇「構成」に対する改善案:なし

【-】◇「設定」に対する改善案:なし



 また、全体的な感想内容は、以下のオプションを基準とさせていただきます。


【2】◇全体的な感想内容:良くない部分も含む (←良い部分、良くない部分どちらに偏ってしまってても構いません)


【3】◇「文章の読みやすさ」に関する感想:あり

【4】◇「読みながら考察や推理をした内容」の掲載:あり

【5】◇「ネタバレ」への配慮:おまかせ



 それでは拝読させていただきます。よろしくお願いいたします。



             *



【1】◆第1章 始まり / 第1話:


 世界感の解説からのスタートですね。私の大好きな始まり方でもあります。書き出しとは基本的に、作中において最も見せたいものが描かれる傾向にありますからね。本作においては「世界観」を重視した作品であると読み取ることができるでしょう。


 さて、〝ここは、私達が住む地球がある世界とは全く別の世界〟という一文からも、語り手は「私たちと同じ世界にある存在」であると認識することができます。つまり「現実世界」に準拠した比較や言い回し――たとえば「単位」などが登場したとしても、特に違和感を受けることがなくなります。良い方法であると思いますね。



 この世界の〝マジリシア王国〟で生まれた者には〝一つのスキル〟と〝一生をともに歩むパートナー〟が与えられるとのこと。ややディストピア感はありますが、どこか「羨ましい」と感じてしまうのも現実世界の世知辛さゆえですね。私のように感じる読者も多いのではないでしょうか。最近の私は「辺境警察」となりつつありますので、今回は〝辺境〟の意味についてはスルーいたします。


 主人公の名前は〝テウス〟といい、両親の名前は〝エラドス〟と〝リュケア〟であるようです。どこかギリシャ神話のような雰囲気がありますね。また、語り口が全体的に神話的であることも、大きな魅力であると感じました。


 あたりまえのように得られるはずの〝スキル〟と〝パートナー〟を持たなかったということで、周囲の村人から心ない言葉をぶつけられてしまうテウス。しかし両親は息子を深く愛しており、村が賊の襲撃を受けた際に〝神の7魔法〟の一つとされる〝守護神の愛護〟を使い、その命を散らせました。



【本来は儀式を執り行うのは神官が行うのだが、金が一銭も残っていないエラドスとリュケアには知人の魔術師に虞子期を頼んでいた】


 ふりがな――ではなく、おそらく誤字であると思われるのですが、〝虞子期〟というのは、正確には「儀式」ではないでしょうか。これを検索すると中華系の人物名が出てくるのですが、前後の文脈との関連が一切感じられませんでしたので。念のためご報告させていただきます。ちなみに〝虞子期〟は「ぐしき」と読むそうです。


 すでに「儀式」という単語は何度も登場しているので、〖本来は神官が儀式を執り行うのだが、金が残っていないエラドスとリュケアは、知人の魔術師にそれを頼んでいた〗と言い換えるのも良いのではないかと思われます。


 長文であるために〝一銭〟も削りましたが、語り手が「私たちと同じ世界にある存在」であるので、入っていたとしても問題はございません。




【2】◆第2話:


 前回から時は進み、物語の舞台は〝10年後〟となりました。テウスは10歳といったところでしょうか。孤児院で暮らすテウスは村人から煙たがられてはいるものの、マジリシアの憲法のおかげか迫害は受けていないようです。それでも居心地は悪そうですね。教師にあたる優しい神官や、友達がいるのが救いです。


 そんな日々を過ごしていたテウスでしたが、突如〝右手のアザ〟が光り、パートナーである〝アクラ〟という少女が現れました。パートナーというのは元々存在している「誰か」が選ばれるわけではなく、こうして生成されるというわけですか。やや人型実体系ホラー感はありますが、これはこれでアリですね。


 アクラの性格も当初こそ従順な態度でしたが、かなりの性悪である様子。しかしテウスとの掛け合いが面白く、なかなかの好印象です。


 そしてアクラの口から語られる真実。早くも伏線回収といったところで、軽い満足感を得ることができました。さらに、いわゆる〝なろう系ファンタジー〟のようなスキルとステータスの説明も登場するのですが、この手法は私は結構好きですね。さらにはテウスが得た〝スキル〟も単純なスキルではなく、〝スキル〟という名前のスキルであるというところも、非常に面白いと感じた部分でした。



【朝起きたとき、突如自分の右手の甲が光りだしたかと思うと、もともとあった盾のアザがずれ始め、本の形をしたアザ、そして本の形のアザができ始めていた】


 この部分なのですが、〝本の形をしたアザ〟が重複しておりますね。もしかすると「本の形のアザが二つできた」とも考えたのですが、どう解釈しても文脈的に違和感がありましたので、ご報告させていただきます。


 その次のアクラの台詞も〝合う〟ではなく「会う」が適切であるとは思われます。もしかすると彼女の正体的には〝合う〟でも良いのかもしれませんが、その場合は「」と傍点を振っておくのが理想的ですね。




【3】◆第3話:


 テウスのスキル〝スキル〟の説明が行なわます。個人的にはワクワクタイムですね。こうした作戦会議や準備をしているエピソードは大好きです。


 説明によると、この〝スキル〟によって他人のスキルを鑑定したり削除したり、自分だけのオリジナルスキルを編み出したり、物体を生成することができるようです。


 タイトルどおりに「最強」ですね。特に〝削除〟が凶悪です。確か最初の説明によると、一人の人間は〝一つのスキル〟しか持ち合わせていないはずですからね。相手のスキルを削除することもできますし、なんならマイナス効果のあるスキルを生成し、無理やり他人に押し付けることもできますね。勝手にスキルの内容を書き換えてしまえば、コメディ展開にもなりますし。とても楽しそうです。


 あらすじでは、いわゆる「タイトル回収」に関する弁明がなされていたのですが、この段階で読者は「あ、最強だな」と感じております。大丈夫です。



 そしてテウスのもう一人のパートナー、オプションでも指定されておりました〝スクティス〟という少女も登場します。盾を持っているということで、名前とも合っていますね。ラテン語で盾を意味する「スクトゥム」あたりが語源でしょうか。彼女の称号が〝守護神〟であることから、〝守護神の愛護〟とも深い関連がありそうです。


 このスクティスは単語を繋ぎ合わせたような、独特の口調で話しますね。健気で純朴、そして従順な印象を受けました。「盾を持っている」以外の容姿の説明は無いものの、たしかにテウスの言うとおり〝美少女〟であると感じます。




【4】◆第4話:


 パートナーの二人と共に、いよいよ〝スキル〟の実践といった流れですね。なんとスキル〝【追加】〟では空間そのものまで生成できるらしく、室内に生み出した異空間の中でスキルの使用を試すようです。


 この異空間は〝【エディター】〟というらしく、スキルを追加する際には自動で転送されるようです。説明の内容からすると、外の時間は止まっているのでしょうか。ゲームで「メニュー画面」を開いている状態に近いものだと推察されますね。


 無事にスキルの実践を終え、新たに〝【空間作成】〟の能力を得たテウス。どれほどの規模の空間ができあがるのかは不明ですが、ここにアクラとスクティスを住まわせておけば安心ですね。街づくり系やスローライフ路線にも対応できそうです。




【5】◆第5話:


 新たなスキルを獲得し、元の場所へと戻ってきたテウスをアクラが迎えます。〝涙目で抱きついてきた〟ところを見るに、彼女もなかなか従順なタイプであるようですね。そして、彼女が心配していたということは、【エディター】にいる間も外の時間は流れているということもわかります。そうなると、テウス限定とはなるものの、攻撃からの一時的な退避場所としても使えそうですね。


 そしてテウスは【空間作成】を使い〝[魔物の住む森]〟を再現します。こちらの空間にはアクラたちも入れるようですね。しかし入って早々、ゴブリンの群れに出くわしてしまった様子。お約束とでもいうべきか、そこそこ強いタイプのようです。


 先制攻撃を受けるものの、スクティスの能力で無効化し、テウスは戦闘中に剣を作成することで応戦します。さらにはアクラが唱えた強力な魔法の力もあり、難なく撃破に成功できました。あまりの楽勝ぶりに、テウス自身の説明も投げやりになっておりますが、これはこれで作品の雰囲気が出ていて良いのではないでしょうか。




【6】◆☆第6話☆:


 話数に〝☆〟が付いておりますね。特別なエピソードなんでしょうか。どうやらスクティスの〝守護神〟は単なる称号ではなく、実際に神であるようです。魔女っ子スタイルのアクラも〝魔法神〟とのことで、どちらも正真正銘の〝神〟とのこと。やはり〝神の7魔法〟の影響でしょうか。盾のアザがスクティスの象徴であり、本のアザがアクラの象徴であるように受け取れますね。さらに最強具合が増加いたしました。


 そして、この世界には神が〝8人〟いるものの、テウスたちには〝7人〟しか知られていないようです。その知られざる神の名前が〝最高神アマテラス〟であるとのこと。アマテラスですので当然ですね。日本人として誇らしく思います。


 そうして話を進めている中、アクラの召喚した〝マグマの龍〟が暴れまわり、周囲のゴブリンたちを自動で撃破している様子。そのお陰でテウスのレベルも〝0.1→10000〟となりました。最高値は不明ですが、凄まじい勢いですね。


 ドタバタ展開がありつつも、無事に強さと戦利品を得たテウスたち。しかし、最後の一文が実に不穏ですね。今後の展開にもワクワクいたします。




【7】◆第2章 第2次魔物大侵攻と仲間 / 第7話:


 戦利品を回収し、元の世界へ戻ったところで、アクラとスクティスが異変に気づきます。いつの間にか外の世界は、魔力と殺気が目視できるほどの異常事態となっていたようです。魔力や殺気が色で見えるというのは、良い表現方法ですね。


 ここで複数の視点によって、様々な人物が動いている様子が描かれます。どうやらテウスが〝スキル〟を使う瞬間を目撃していた男もいたようです。〝エウテュス・テウス〟という彼の本名を知っていることからも、因縁深い人物であることがわかりますね。現時点で該当するのは約一名ですが。果たして正体はいかに。


 続いての場面は〝テキム〟という男が戦う様子です。マイペースな部下らに振り回されている感はあるものの、なかなか強い人物のようですね。彼のパートナーは〝フェニックス〟とのこと。必ずしも人間型をしているわけではないようです。


 そして異変を目にしたテウスたちも戦いへと向かいます。テウス自身は話に夢中で〝レベル10000〟になっていたことに気づいていなかったようですね。



【そして、テウスの体が渦に巻き込まれるようにゲートの中に飲み込まれていったのを見て、ak裏とスクティスも飛び込んでいった】


 この〝ak裏〟は「アクラ」の誤字であると思われます。まったく個人的な価値観なのですが、誤字の中でもキャラ名の間違いは「作者の、キャラに対する愛情」を疑われてしまいますので、絶対に避けた方がよいですね。




【7】◆第8話:


 ステータスを確認し、〝テウスがノロノロしている〟ところに〝スコトス〟なる男が襲来してまいりました。前話でテウスの部屋を覗いていた人物ですね。


 今のところ、異空間への移動を除けば、テウスは部屋から一歩も出ていない状態です。まさに「オート状態」といったところですね。こういったあたりでも「最強」さが滲み出ているのですが、テウスの初手は〝逃げ〟でした。


 しかし、テウスは状況を上手く活用し、スコトスのスキルに【干渉】した後に【停止】させることに成功しました。さらに【空間作成】で生み出した牢獄の中へとスコトスを閉じ込めます。そして、敵を撃破したことによってやる気が出たのか、テウスは村と王国を救うために戦う決意をします。最後の一文がかっこいいですね。



             *



 さて、投稿中の全エピソードを読み終えましたので、ここで【エピソード感想】を終えさせていただきます。続きましては次のページにて、各オプションに基づいた感想のまとめを述べてまいります。

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