【エピソード感想】青い疾風(ブルーゲイル)!/島村 翔さま 《1》

>◇「参加作」を読もうと思った理由:あり


 やはり最も惹かれる部分はタイトルとコピーですね。とにかく勢いがあります。あらすじを拝読した感じ、すぐに転移系の異世界ファンタジーであることもわかりますので、手に取りやすいのではないでしょうか。しっかりと世界観が創り込まれている様子も伝わってまいりますね。読み進めるのが楽しみです。


 なお、本作品は「まとめ読み」の範囲として、【序章】から【第4章5話】のおよそ17万字が指定されているのですが、幸崎の生活環境的に、まとまった時間が取れませんでしたので、今回は分割して読み進め、最後に〝【序章】から【第4章5話】〟までを通した感想を述べさせていただきます。


 今後も範囲が10万字を超える場合は、このような方法を執らせていただきます。また、ネタバレの項目もありませんでしたので、ここは私の判断で〝おまかせ〟とさせていただきますね。



             *



>序章


 紺色の制服を着た男が命令に従い、誰かを捕らえてきたようですね。〝わし〟という一人称から、囚われの人物は若者ではないことが窺えます。


 〝うごめく〟や〝おり〟や〝ちゅうちょ〟といった、やや難読漢字はあるものの、文章は読みやすく仕上がっておりますね。ふりがなに関するオプションは設定されておりませんでしたので、これ以降は同様の言及は避けてまいります。私は大量に「ふりがな」を振ってしまうのですが、無い方がすっきりとはいたしますからね。


 そして囚われの人物は檻へと放り込まれ、制服の男までも檻に閉じ込められてしまいます。檻の中には何者かが潜んでおり、不気味なしゃくおんだけが響いたのでした。




>第1章 1「鋤(スペード)のヒース」


 〝ヒース〟という名の5歳の少年の場面からスタートですね。どうやら彼はヤンチャな性格のようで、〝異形獣まもの〟を倒したい様子。このエピソードからルビやふりがなが付いておりますね。やはり私はこちらの方が好みです。


 ヒース少年の育ての親である〝じっちゃん〟は50代とのこと。なぜ「じっちゃん」と呼ばれているのか、その説明があるのも良いですね。こうした違和感を先に解決してくれることで、ストレスなく読み進めることができます。


 現在の舞台となる〝ブルタニー王国〟は、フランスの17世紀の環境に似ているとのこと。この語り手は現実世界の人物か、あちらの知識が異世界側にも浸透しているのかもしれません。大まかな地形や場所を説明してくれるのも良い点かと。


 ヒースたちは農耕を生業としており、異形獣まものの被害に悩まされている様子。それにもかかわらず、この国には〝銃剣所持禁止令〟というものが施行され、一般民衆は武器を持てなくなったとのこと。しかし、過去になんらかの功績を挙げたじっちゃんは〝赤い刀〟なる武器の所持を特別に許可されてはいるものの、実際に使用してはならないようです。なんだか現実世界のようですね。


 やはりヒースは不服なのか、辺りの農具を見回しては武器になりそうなものを探しています。私も似たようなことをやっていた経験がありますね。どこかの廃材を持ち出しては、木の剣やら槍を作って遊んでいました。どうやらヒースは〝オレンジ色の髪〟をしており、〝右の額に火傷の跡〟があるようですね。



 そして時代は飛び、ヒースが8歳になった場面へと移ります。どうやら彼とじっちゃんは馬車で街へ向かった帰り、異形獣まものに追われているようです。


 異形獣まものの特徴も明らかになりましたね。形態は様々であり、皮膚が異常に硬いことが共通点。口が頭部の三割を占めるほどに大きく、鋭い牙が突出している。そして人間を捕食するのだそう。序章のラストシーンが頭をよぎりますね。


 彼らを襲ってきた魔物は〝タイプ1〟と呼ばれる種類のようで、飛行能力を持つようですね。ヒースは血気盛んに戦おうとしますが、じっちゃんに一喝されて馬車の手綱を握ります。しかしやはり我慢できず――と、いったところですね。結果的に〝タイプ1〟を撃退するものの、続いて〝タイプ2〟が現れてしまいます。


 ここの戦闘シーンは緊迫感がありますね。まともな武器が無い状態で、幼い少年とじっちゃんが必死に抗っている様子が映像として浮かびます。そしてどうにか窮地を切り抜け、二人は〝護衛隊〟らとの合流を果たしたのでした。この護衛隊員との会話の中で、じっちゃんが〝チョー教官〟と呼ばれていたことなどがわかります。


 さて、ヒースとじっちゃんは無事に家へと帰り着き、ヒースへの誕生日のプレゼントとして、ドラゴンのブレスレットが贈られました。〝巻きついた〟という表現があることから、ドラゴンというよりも「龍」なのかもしれませんね。


 どうやらこのブレスレットは、魔物が嫌う金属で作られている様子。喜ぶヒースはブレスレットを巻いた右手首を掲げ、それをじっと眺めたのでした。




>第1章 2 入隊試験


 15歳になったヒースの場面からスタートですね。どうやら彼は〝毎年春に開催されるブルタニー国、国王護衛隊の入隊試験〟に参加している模様です。他の参加者に続き、名前を呼ばれるヒース。敬語を使い慣れていないあたりが、とても親しみを感じさせますね。良い主人公だと思います。


 そしてお決まりともいえる、他の参加者からの嘲笑タイムです。もう、この先の展開がお察しではあるのですが、ヒースが選んだ武器が〝すき〟であることから期待感が持てますね。いったいどのような戦い方をしてくれるのでしょう。


 どうやら一次試験は総勢1000人での乱闘のようですね。自由に戦い、100人になったところで終了のようです。もちろん、しっかりとしたルールはあるようなので、殺し合いというわけではありません。護衛隊員にはランクがあるらしく、ここでの成果が最初のランクにも影響するようです。


 ここの戦闘シーンも臨場感がありますね。どこから相手が襲ってくるのかわからない、そんな緊張感が伝わってまいります。今のところ、私は本作の見所は、こういった「戦闘シーン」だと感じております。


 無事に一次試験を突破したヒースは続いて二次試験に挑みます。そこではなんと、〝銃〟を使う参加者までいる様子。戦いの合間にヒースの回想が挟まれる描写は良いですね。〝良い意味で〟漫画的な「」になっています。




>第1章 3 罠


 銃を扱う〝仮面のスナイパー〟と、ヒースの対決ですね。このスナイパーの台詞はなかなか興味深いです。彼いわく「護衛隊は異形獣まものではなく一般民衆を殺している」とのこと。いったいどういう意味なのでしょうね。


 結局スナイパーは違反行為により退場処分となってしまいました。しかしながら、彼が物語における重要人物であることは明らかですね。再登場が楽しみです。



 そして二次試験も無事に突破したヒースは続けて三次試験へ挑むようです。なかなかハードですね。それだけ過酷な任務に就くということなのでしょう。


 この三次試験なのですが、怒涛の展開ですね。まさしく序盤の山場といったところでしょうか。護衛隊総隊長〝トージ〟の非道な行為に続き、次々と物語が動きはじめます。黒髪の少年の登場と、彼が目撃したトージの変装の瞬間。そしてトージの口から語られる〝芹澤兆楽〟の名。このちょうらくという名前から、じっちゃんは〝チョー教官〟と呼ばれていたようですね。




>第1章 4 「疾風電雷のミツヤ」


 入隊試験が滅茶苦茶な状態となり、じっちゃんへの報告のため、自宅へと走るヒース。そんな彼の前に、異形獣まものの群れが現れる場面からのスタートですね。やはり本作の戦闘シーンは総じて緊迫感があります。武器が〝鋤〟しかないことも一つの理由なのでしょう。


 そして自宅へ帰り着いたヒースですが、すでに悲劇が起きたあとでした。読者としては犯人がわかっている状態ですが、ヒースは色々と推理を巡らせます。どうやら腕っ節のみならず、頭の回転も速いようですね。


 息も絶え絶えなじっちゃんの台詞が意味深ですね。果たして〝刀〟と〝腕輪〟にどのような関係があるのでしょうか。色々と想像が膨らみますね。じっちゃんとの別れを済ませ、旅に出る決意をするヒース。そんな彼は異形獣まものに襲われた護衛隊の生き残りと遭遇し、護衛隊への疑念を募らせました。



 ここで場面が切り替わり、黒髪の少年から見たヒースの様子が語られます。ヒースは重傷を負いつつも、持ち前の熱血漢から黒髪の少年〝ミツヤ〟を助けます。しかしミツヤはかなりの強者であるらしく、残りの異形獣まものをあっという間に片づけてしまいました。


 さて、〝「任意の登場人物」に関する感想オプション〟でも選択されている〝ミツヤ〟の登場ですね。私の第一印象としては、少し性格がひねくれたライバルキャラといった感じでしょうか。好きか嫌いかでいえば、間違いなく好きですね。


 ミツヤに対して友好的なヒースに対し、ミツヤは護衛隊を助けた彼への怒りを募らせます。どうやら護衛隊は昨日の非道な行ないに加え、〝イントルーダー〟なる存在を狩る任務を帯びているとのこと。気になるワードが出てまいりましたね。




>第1章 5 イントルーダー


 ヒースとミツヤの小競り合いの場面からスタートです。ミツヤの言動は目の前のヒースに対してではなく、頭の中にイメージした「なにか」へ向けての愚痴を言っているかのようですね。正直なところ、こうした思考はあまり好きではないですね。


 どうやらトージはミツヤの村を襲った仇であるらしく、彼は単身、護衛隊の本拠地に乗り込むとのこと。ここでヒースとミツヤはようやくまともに言葉を交わし、互いに真っ直ぐな性格であることもあってか打ち解けることに成功します。


 ミツヤの話から、この世界のことも色々とわかってまいりました。まず、ミツヤは〝フランス〟が存在する異世界からの転移者であることと、能力ドナムという力を〝与えられし者〟であることが判明します。そして、そうした異世界からの転移者のことを、〝侵入者イントルーダー〟と呼ぶとのこと。さらに、そんなイントルーダーたちを排除する〝EIA〟なる組織があることも語られました。


 異世界からの転移者といえば「最強」のイメージがありますが、ミツヤが〝怖い〟と言っていることから、EIAという組織には相当な手練が揃っているようですね。これは能力バトル展開もアリといったところでしょうか。


 このエピソードは世界観がよくわかることもあり、非常に読み応えがありました。大好きですね。こういうの。常に何かしらの見せ場が用意されており、全体的な構成力が素晴らしいと感じました。




>第1章 6「ビーサンのクロード」


 ヒースとミツヤの前に突如として姿を見せた護衛隊の第三隊隊長、通称〝ビーサンのクロード〟の登場シーンからの開始です。殺気立った眼と柔らかな言動、そして足元のビーチサンダルの組み合わせから「絶対に強い」と感じさせてくれます。


 このクロードなのですが、〝1〟の場面にて、じっちゃんの口から名前が語られておりましたね。確か彼が直々に鍛えた隊員だったはず。クロードの剣筋からヒースもそれを察し、無事に戦いを収めることに成功します。


 前回のミツヤとの展開に続き、熱い場面が続きますね。「ビーサン」の由来にも納得です。そして最後のシーンも含め、読んでいてとても楽しかったです。




>第1章 7 覚醒


 星空の下、敵の本拠地近くに潜伏するヒースとミツヤの場面からスタートですね。情景描写が美しいです。これから起こるであろう激戦を予感させますね。


 二人の連携によって見事に潜入にも成功し、無事に形見である〝刀〟を奪還します。この場面は本当に面白く、夢中で読み耽ってしまいました。タイトルどおりの〝覚醒〟の瞬間も必見ですね。すべての場面が映像として浮かんでまいりました。




>第1章 8 アバロンのアジト


 トージは仕留め損ねたものの、刀は取り戻したヒースたち。そんな彼らの場面からのスタートですね。まずは状況の整理と傷の手当てを行なうため、ミツヤが根城にしているという〝アバロン〟という街の廃墟へ向かいます。


 どうやらこの世界では、ガスや水道といったインフラが整っているようですね。廃墟とはいえ、水道が機能しているとのこと。貴族が水道代を払っているというのも、妙にリアルで面白いですね。非常に興味深い世界です。


 この世界への転移の仕組みもわかってまいりましたね。まだ確信こそないものの、ミツヤは元の世界で落雷に遭ったことから、雷の力を得たことなどが推察できます。




>第1章 9 青い疾風(ブルーゲイル)!


 ヒースが名案を思いついた場面からの開始です。どうやらヒースは護衛隊に代わるような組織である、〝自警団〟を組織しようとしている様子。そして当初は彼を見下していたようなミツヤもヒースに感化され、その案に同意します。


 ここのヒースの台詞は熱いですね。まさに王道といった感じです。ミツヤの嫌な感じも完全になくなっており、二人が大好きになりました。団の名前も〝青い疾風ブルーゲイル〟に決定し、ヒースは結成の祝いも兼ねて街への買出しへ向かうのでした。


 アバロンから数キロ離れた〝ディジー〟の街では、すでにヒースたちの手配書が出回っていたようです。しかし同時に護衛隊への不満も多く耳にしたことで、ヒースは自身らの活動にも少し期待感を持ったようですね。また、この世界ではゲインという通貨が使用されておりました。やはり文明のレベルは、かなり高いようですね。


 ここで場面が切り替わり、なにやら〝実験〟の準備を行なっているトージの場面が描かれます。どうやら〝ブルタニー国〟を取り巻く国際情勢は急激に悪化しているようですね。裏には教会や教皇などの姿もチラついており、ただならぬ雰囲気です。


 そして再び場面はヒースたちへと戻り、記念すべき初仕事の内容が語られます。村を占拠している異形獣まものを討伐し、村を取り戻すといった内容のようですね。よほど切羽詰っているらしく、破格の依頼料が支払われるとのことでした。



             *



 さて、ここで〝第1章〟が終わり、感想の文字数も5000字を越えておりますので、一旦エピソードの感想を終えさせていただきます。あとは次のページにて、各オプションに基づいた感想のまとめを述べたいと思います。

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