ないものねだり

Kabocha

プロローグ

あと少し、あと少しだけ、この時間が続いてほしかった。


 吸い込まれそうなその瞳をじっと見つめると、貴方は恥ずかしそうに目を逸らした。けれどまた目が合う。


「あー……ほんとに、ずるい。沙智さち。……ずっと隠してたのに。」


 やっと貴方の本音が聞けた。…それは思っていたよりも辛く悲しい、けれども幸せだった。


優真ゆうま」と言いかけてやめる。

 

 知ってしまった。全部、ぜんぶ。

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