第4章

第44話

「いなり寿司作ったから、食べて」



栄くんのお母さん、お手製のいなり寿司を目の前にして、食べる事が大好きな私の瞳は、キラキラしていたと思う。




「頂きます!」


………!!


いなり寿司の上品な味わいが口の中に広がった…。




「とっても美味しいです…!!」



「気に入って貰えて良かったわ」



松下家と野山家の味付けは、とてもよく似ていて、安心感が広がった。



「それにしても、栄太が結婚を考える年齢になるとはね…」



「えっ?」



「子供の頃は、やんちゃな息子だったのよ」



「そうなんですか!?」



「ガキの頃は、近所の人に怒られてたよ」



栄くんは、苦笑いしながら話す。



『子供の頃から可愛かったんだろうなぁ…』


想像すると、自然と口元が緩んだ。



「写真なら、あるよ。見る?」



「見たい!!」



栄くんが押し入れを開けて、アルバムを手渡してくれた。



表紙を捲ると、お義母さんに抱き抱えられた、赤ちゃんの頃の栄くんの姿があった。


「可愛い…♡」



私が知らない頃の彼の姿に、思わず笑みが溢れた。

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