第7話

「だから、何もないってば!もう、帰してよ…」



「とは言ってもなぁ…」



「証拠も無いんだから、こんな事必要ないだろう。」



「だが、何も隠していない証拠もねえ。寧ろ、怪しい行動ばっかりだろうが。」



「誰だって、新撰組と聞いたら驚くさ。」



ここは新撰組屯所、局長室前の縁側。



先程、沖田に補導された小柄な男が庭先に捕らえられていた。



騒ぎについては、彼が被害者であることが分かり、中年男は奉公所に引き渡され、一件落着。



しかし、大変なのはその後で。



新撰組の名前を出した時の反応が怪しいと言って、男は疑いをかけられていた。



そして、先ほどのような押し問答が延々と続いているのだ。



「新撰組と言えば、剣豪の集まりとしてこの街じゃ有名じゃないか。そんな奴が目の前にいて、驚くのは自然なことだろう?」



「驚くだけだったら、ここまでやらねえ。問題は、逃げようとしたお前の態度だ。」

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