鏡の国
@2housenka
スペクルム陥落
第2話
幻歴1239年、鏡の国。
「スペクルムが陥落した。」
大佐の言葉に、ゾーイは耳を疑った。
(あそこには、ヒューイが…。)
スペクルムは、この鏡の国の中でも大きな要塞のある北の土地だ。
大きな軍隊が駐在しており、さらに寒さの厳しいあの土地を抜けてくるのは容易ではない。
敵がそこを突破したということは、軍隊に入っていた友人は…。
ゾーイは思わず唇を噛む。
同じような心境の者がいたのか、どこからか鼻を啜る音が聞こえた。
敵の姿をこの王都で見るのはそう遠くはないだろう。
その場にいた兵士達に、戦争という現実が強く突きつけられた。
「地上戦になる日は近い。いつ接近戦になるかわからん、鍛錬は抜かるな。明日の作戦についてだが…」
大佐は淡々と書類の重要事項を読み上げていく。
それに耳を傾けつつ、ゾーイは物思いにふける。
(ここも戦場になるかしら…)
鏡の国の都である、このカスレフティスには全体の70%以上の国民が住んでいる。
この場にいる兵士の血縁者が住んでいるケースも多い。
もしも都カスレフティスが戦場になれば、その被害はこれまでの戦の比ではない。
それだけは、この国の軍人として何としても避けなくては…。
「ゾーイ?」
ふいに声をかけられ、彼女はハッと俯いていた顔を上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます