第7話 幼馴染への告白
俺の心の中に、弥居子ちゃんと疎遠になるという選択肢は、全く存在していなかった。
今の俺の状況だからこそ、「弥居子ちゃんと疎遠になる」のが最善の選択肢だったと言えるのだが、当時の俺の心の状況ではこれしか選択肢がなかった。
それだけ俺の心が弥居子ちゃんに傾いていたということだと思う。
俺の心はいつの間にか弥居子ちゃんによって支配されるようになっていたのだ。
こうした状況になってくると、弥居子ちゃんの心を縦屋先輩から俺の方に傾かせたいと思うようになってくる。
その意味でも、俺は告白するしかない。
しかし、俺の告白を断られた場合の打撃は、はかりしれないものがある。
告白を断られるのは恐い。
それでもこのまま縦屋先輩に弥居子ちゃんが取られてしまうのを、俺としては黙って見ているわけにはいかない。
それこそその後のダメージははかりしれないものになる。
結局、今の俺の最善の選択肢は、弥居子ちゃんに告白をすることなのだ。
それは自分でもわかってはいるのだが……。
それでも告白に踏み切れない俺。
悩みは深まるばかり。
俺は一体どうすればいいんだろう……。
悩んでいる内に、あっという間に一週間が経ってしまった。
自分のことではあるが、その優柔不断さに腹が立ってくる。
そんなある日の休日。
俺と弥居子ちゃんは、弥居子ちゃんの家の部屋でいつものようにゲームをしていたのだが……。
弥居子ちゃんは、
「ここのところ陸時ちゃん、元気がないよね? どうしたの?」
と聞いてきた。
俺はその声を聞いて、急速に、
「ここで告白すべきだ!」
という気持ちが沸き上がってきた。
そして、
「弥居子ちゃん、今日、俺は弥居子ちゃんに大切な話をしたいんだ」
と言った。
言ってから、
なんでこんなことを言っているんだ?
と後悔するとともに、恥ずかしさ襲ってきた。
でも言ってしまった以上は突き進むしかない。
「大切な話?」
「そう。大切な話。その前に、縦屋先輩とはどうなっているの?」
「縦屋先輩の話?」
「告白されたって言っていたと思ったけど?」
「ああ、告白の話ね」
「そう。それで、返事はしたの?」
この言葉を発した時、俺は緊張した。
弥居子ちゃんはどういう返事をするだろうか?
一瞬、弥居子ちゃんは困惑したような表情していたが、
「ううん、まだしていないよ」
と応えた。
俺は少しホッとする。
そして、心を整えると、
「それなら弥居子ちゃん、縦屋先輩の告白を断ってほしいんだ」
と一気に言った。
一瞬、その場に静寂が訪れた。
俺は、言い過ぎたかな、と思った。
弥居子ちゃんは先程にも増して困惑した表情をしていたが、やがて、
「理由を教えてくれるかな?」
と言った。
俺の胸のドキドキが大きくなってくる。
苦しい。
つらい。
でもここが一番大切なところだ。
俺は心を再び整えた後、
「それは、俺が弥居子ちゃんのことが好きだからだ。縦屋先輩に弥居子ちゃんを取られたくないんだ。俺は弥居子ちゃんをただの幼馴染ではなく、恋人にしたいと思っている。お願いだ。俺は弥居子ちゃんのことが好きなんだ。俺と付き合ってほしい!」
と言った。
俺の今までの人生で一番の勇気を出して言った言葉だったと言っていい。
しかし、弥居子ちゃんはそのままうつむき、黙り込んでしまった。
これはダメかもしれない……。
俺の心の中に、弥居子ちゃんとの幼い頃からの思い出が次々に浮かんできた。
楽しかった日々。
それも今日この時点から悲しい思い出に変わってしまうのだろうか?
だとしたら、ここで告白したのは間違いだったのでは?
俺はそういうことも思った。
しかし、今は、とにかく弥居子ちゃんの返事を待つしか方法がないという状況だった。
俺は弥居子ちゃんが告白を受け入れてくれることを心から願っていた。
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