叶わない願いを叶えてくれますか?

有茶川みるく

プロローグ

第1話. [夢]

「お母さん!行かないでよお母さん!!」




-ごめんね、家で大人しくしててね、。









私は監視人に連れて行かれていく母を一生懸命に追いかけていた。




追いかけても追いかけても差はどんどん開いて行く。




やがてもう母の姿が見えなくなっていった。









「お母さん!家でずーっと待ってるからね!」




-…ありがとう、大好きよ、エリ。









お母さん、お母さん、





そう何度も呼びかけた。        心の中で。



返事は来るはずもなく。








その時の私は幼いなりに考えて、お母さんは “研究台” になったという結論を出した。



もちろんそれを正解と言う人もいなく、不正解と言う人もいない。



それからの私は 孤児 として炎界孤児園に入れられた。



私は炎を主に扱う炎界の界人。



母と会えなくなったあの日の時、私はまだ8歳だった。



でも8歳と言うだけあって、言葉とかもしっかり身についていたし、お母さんとの思い出ももちろんたくさんあったしアルバムもあった。




あの日から6年経った今でも時々思うことがある。




だからこそ、将来の夢はもう決まっていた。





※※※※※




「エリー?そろそろ起きなさいー?」




「はーい」




今日のも夢だったのか、




最近よくお母さんの夢見る。




お母様に相談できるはずもなく、生活を送らなければと思うだけの日々。





「お母様、今日の朝ご飯は何ですか?」




「今日は昨日私が手作りしておいた苺のジャムとトーストよ!さあ、早くお食べ」




「今日もありがとうございます」




暖かい床にまた眠りそうになりながら、毎日の日課のお母様に話しかけ、弟や妹、お姉様やお兄様を起こしに行く。





「お姉様やお兄様、皆さん、朝です!起きてください!」





私達は炎しかまともに出せないから、変に暑くして起こす。

だから私の手元には今は私自身が出した炎が燃えている。





「エリさん今日もお早いお目覚めご苦労様」




「毎日夜まで課題をしてらっしゃるお姉様の方こそご苦労様です」




「お姉様、今日の朝食は何ですか?」




「トーストとお母様お手製の苺ジャムでございますよ、エディ。」





ここ、ラフリスには家族という制度がない。




私が今話しかけたのも本当のお姉ちゃんや弟じゃない。




みんな、本物と分ける時には “様” 付なんてしない。




あだ名で呼ぶ人もいればちゃん付で呼ぶ人もいる。




でもみんな家族と仲良くするために生まれてきたのではないから。








-神界に生き残るために生まれてきているのだから-


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