第7話

「いや、元々そのつもりだったんだけど

息子の執事が夜逃げしてしまってね。

………困ったものだよ。もうこれで何度目か分からない」



「だから私に執事を…と言うことですか?」



「頼めるかな。この通り!」




と頭を下げて頼み込まれた。



何となく分かってきた、私が男装しなければいけない理由が。




執事は男しかなれない職業であり、

次から次へと辞めていくその執事たちの

ピンチヒッターとして雇われたのだ。





大学は母が頑張ってくれていたおかげで良い大学を卒業できた。

しかし家族を養えるだけの賃金が貰える就職先が見つからずに、途方に暮れていたのだ。



そんな私に選択肢などあってないようなもの。



はなっから断る気など、毛頭ないけれど

ここはひとつ腹を決めて、匙を投げた執事たちの代わりを務めるとしよう。

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