16. 学校のお化け

「人間の子供も、まあ可哀想なものさ」

 学校という人間の施設で、教壇に頬杖ついて、お化けはふぅと溜め息を吐く。

「こんな箱に押し込まれて、大人に型にはめられてさ。はじめはみんな違う顔なのに、出ていく頃には同じ顔をしてるんだ」

 ここはそういう工場なのさと学校のお化けは言った。

「成長というのは」

 お化けはヒヨコの翼に触れる。

「己の殻を破ること。姿かたちを変えること。だけど人間は、真逆のことをしてるんだ。扱いやすくはなるんだろうけど、その先にあるのは退化なのにねぇ」

 そしてお化けはアリソンたちを見回した。

「いいかい? あんたたちは物事の本質を見誤るんじゃないよ」

 人差し指を立てるお化けは、やっぱり先生のようだった。

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