07. 四角いお化け

「四角が良い」

 お化けは語る。理想は四角四面の立方体。少しくらい辺に長短あってもいいけれど、四角形なのは譲れない。

「例えばほらあなた、箱の中に入ってみなさいよ」

 魔女も猫もヒヨコも、形が不均一。だから、隙間がたくさんできる。

「そんなの美しくないでしょう?」

 だから四角は美しいのだと四角いお化けは熱弁する。四角なら、隙間はほとんど塞がれる。無駄なものは入らない。

 アリソンたちは、黙って頷くしかない。さっきから、この箱のようなお化け、目が怖い。

「あなたたちも、四角になる?」

 からだをバラして隙間に埋めて。おすすめよなんて誘うけれど、みんなの顔はひきつった。

 遠慮しますと断って、アリソンはそそくさと立ち去った。

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