第1章 The game begins 5

 それはさておき。気を引き締めて、ホールでのミーティング。皆、真剣な面持ちだ。

「私は開催者としてもこの大会に関わってゆきますから、大事な話は私からいたいます……」

 話はスケジュールと、簡単な規則の確認。日本語で話されて、通訳が英語で伝える。

 ここには、非英語圏の選手もいるものの。グローバルな活動をする選手は、英語をほぼマスターしているものだった。アンディも英語は達者なもので、うんうん頷いている。

(すっげーな、英語全然わからん……)

 俊哉は英語を理解しているアンディに感心していた。雄平は今でこそ日本国内での活動だが、将来はグローバルに範囲を広げたいから、英語を学んでいた。そのおかげで、通訳の言ってることも分かった。

 感情が昂り、差別用語など使ってはいけない暴言を発した場合はタイム加算などペナルティーを受けるが、たとえ言葉だけでもあまりにも酷ければ失格となる。

 意図的な妨害など、著しい違反にももちろん失格になる。というのは、言うまでもないことだが。それでも、言葉を交わして確認することは、大事なことであった。

 また、安全面や不正防止のためにも、試合中は拘束時間となり、選手やスタッフ、ゲストは許可なく無断でビルから外出すると失格となる。

 話はゲーム設定に移った。

 参加チームは25。ツーリングカーでは1チームにつき2プレイヤー体制なので、50人が参加するが、50台で競い合うのではなく。25台参加のレースを2回行い。上位12位まで入った選手が決勝レースに進む。

 また、24時間耐久では、GTマシン15台、ツーリングカー30台、その下のカテゴリー、スポーツプロダクション30台の、合わせて75台のAIカーも、プレイヤーと一緒になって走る。

 なので、プレイヤーカーと合わせ、100台がニュルブルクリンクの24時間耐久レースを走ることになる。

 ツーリングカーやスポーツプロダクションはともかく、AIカーGTはとても手強い。もしかしたらAIカーが勝つこともあり得て。この耐久レースは、人間とAIの戦いでもあった。

 参加チーム及び選手たちも、事前に知ったうえで参加申請し、審査に通ったのだから。AIとのレースにいなやはなく、むしろ闘志を燃やしていた。

(我ながらリスクをとるわねえ……)

 下手をしたらAIカーが表彰台独占なんてこともありうるレース形式である。以前主催したラリーゲームでの試合でも、予選は大変厳しく、全落ちのリスクがあったのだ。

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