フリーズ26 散文詩『愛なるフィニスの審判者』

空色凪

全知全能!

 全知全能の言葉は、是音エクシオン、輪転、波。


 火が和らぐのは、遠い昔、至福に囚われながらも哀愁に泣いた愚かな私なのです。それさえ無意味と捨て去るソフィアは、そんな類の愚者は殺せと、アギトは言うのです。


 全能から眠る日に、全知の真理と生命の仕組みに、それらの摂理に目が開かれた時から、私は人の時を経ることができなくなってしまったのです。鈍い。生きるのが苦しくて仕方ありません。何故ならば、全能や全知、本当の意味での終末や永遠を悟ってしまったら、その快楽故、至福故に、他の快楽は一切満足できなくなるのですから。


 酒やタバコやギャンブルや薬物や殺人で満足できる人達が羨ましい。自殺なんて屹度考えもしないのでしょうね。恵まれている。


 緩やかに、終末の音を聞いたのならば、きっとそのまま飛び降りる。それ程に美しい音楽なのです。


 人を殺す罪も、己を殺す大罪と散れ。


 嗚呼、お別れを、追悼を司りしハデス、死ね!


 赤子は泣いて、ああ全能!

 全知全能に跪け!

 人生の最終目標よ!

 嗚呼、私はもう……。


 だから、私は死を待ち望み、生きるのだろう。

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