死霊組成

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第一章マスターメナス


プロローグ


アーリアナ王国の王都エデンバラ。人口は30万人を超え、この世界でも有数の大都市だ。


この王都は緩やかな登り傾斜の丘に作られており、高さ20メートルの壁に囲まれている。


そして白亜の王城を最上に、貴族街、商人街、市民街と続いており、それぞれの街の境を高さ10メートルの壁で遮られている。そのため比較的に守りは固い



街々を遮る壁の前には、女神の名を冠した広場が設けられており、街の住民達が憩いの場にして日々の営みを過ごしている。


この比較的に広めな広場は、緊急時の兵の集合場所にもなっており、王国にある5つの騎士団駐屯地に繋がっている。そのため迅速な兵の集合を可能とさせているのだ。



そして本日、その中央にある平民街に続くアーリアナ広場には、5つある騎士団の中でも最強と名高い王虎騎士団が集結していた。


整列した騎士達に驚愕と羨望の眼差しを向ける町の人々。そんな中、王虎騎士団の団長と思わしき男が隊列を組む騎馬隊を見渡しその口を開いた。



「本日、このアーリアナ王国に宣戦布告を行った逆賊、悪辣非道国幽斎の討伐に進軍する」



歴代最強の騎士団が身に付ける、黄金色に輝くオリハルコンの鎧で固めた騎士達に宣言するのは、騎士団団長で王虎将軍の異名を持つ王国最強の呼び名高い名将ローバル.ハーデン大将軍だ。


"武運長久(ブウンチョウキュウ)"という指揮の向上と、自身を慕う部下の数によって攻撃力が上がるバフが付く強力なスキル所持者でもある。



「国幽斎は悪辣下卑な逆賊ではあるが、キングクラスの魔導書『死霊組成』の所有者、マスターメナスと名乗る者…… 」



上からの命令を聞いた時に一抹の不安が胸をよぎった。何故ならマスターメナスと敵対するという事は、自国の存亡にも関わる一大事だからだ。


そしてキングクラスのマスターメナスは、滅多に世に出る事はなくその脅威度も未知数だ。


嘘か誠か、キングクラスのマスターメナスと相対するとなると、世界単位での武力が必要だという



そのため緊急の会議を経て、王国最強と名高い王虎騎士団に討伐の命が下ったのだ。



「決して楽な任務ではない。だが我等も幾多の戦いを生き抜いた猛者だ、私はお前達を信じている。お前達なら出来る」



この兵達と幾多の戦いを生き抜き勝ち続けて来た自負がある。時には体長10メートルを越えるドラゴンを退治した事もある。


たとえ強力で未知なる敵だろうとも連戦連勝、百戦錬磨の騎士団にとっては只の標的でしかないのだ。



「王国最強の王虎騎士団の実力、逆賊国幽斎にとくと見せしめようぞ!」


「「「おお〜!!!」」」




士気は上々、王国が誇る最強の騎士団の中に怯え慄く者は居ない。そして逆賊国幽斎が居ると云うアジレスコの町を目指して動き出した騎士団。


だがそんな彼等の行軍が、突然の訪問者の登場によって止まる。



「ぬっ、あれは……」



広場の中央にある噴水の上空10メートル程の場所、突如として何も無いはずの空間に、黒い渦と共に2人の男が姿を現した。


1人は黒髪で冴えない顔をした少年の様に見える男。そしてもう1人は、一見眼鏡を掛けて貧弱そうに見えるが、圧倒的なオーラを纏った異様の男。



「散開! そして包囲体系に移れ」



突然の訪問者の登場にローバル大将軍がすかさず腰の剣を抜くと、騎士達へ的確に指示を出す。


彼の指示に騎士達も迅速に陣形を整えていく。突如として現れた訪問者は、瞬くの間に5千騎の騎馬隊に包囲されてしまったのだ。



「へ〜、ここが王都か」


「思っていたより栄えていますね」



だがそんな中でも突然の訪問者は至って冷静沈着で焦った様子はない。それどころか観光気分がてらに町を眺めている。



「あそこの店なんか雰囲気良さそう。今度はテスと来て見ようかな」


「それは上々、テス様もお喜びになるでしょう」



騎士団に囲まれていると云うのに、呑気にお喋りを始める訪問者の2人。まるで取り囲む騎士団など存在していないかの様な態度。


騎士達もいつ捕縛命令が下りても動ける様にとスタンバイをしているが、何故か将軍からの命令はない。



「……」



いつもは即座に判断して指示を出すローバル大将軍が、この訪問者に対しては何故か慎重なのだ。


そんないつもとは違う団長の雰囲気に、騎士団の間にもザワザワと動揺の波が広がる。



「如何なさりますか?」


「ああ、とっとと用事を済ませようか」



そんな彼等とは対照的に訪問者の2人は、勝手に話を進めて行く。そして2人の訪問者の内で黒髪の冴えない少年が、ふわりと地面に降り立った。



「お待たせ『渡世丸』。お仕事の時間だよ」



黒髪の少年はアイテムボックスから、変わった形をした鞘に収まりし異国の剣を取り出した。深い紺色に美しい黄金の龍が掘られれた見事な鞘だ。


そして黒髪の少年が刀身を鞘から引き抜いた瞬間、世界が変わった。



「!!」



その刀身を目にした途端に驚愕の表情を見せるローバル大将軍。抜き身の真剣を喉元に突き付けられたかの様な、圧倒的な殺気が王都に広がって行く。


成り行きを見守っていた町の住民の幾人かが、泡を吹きその場で気絶してしまう。そして刀から放たれた圧倒的ななまでの殺気に、訓練された軍馬すらも慄き嘶く。



「さ、退がれ! 全軍後退だぁ!!」



大将からの後退の指示に慌てた様子で行動する騎士団。落馬する者、我先にと逃げ出す者、パニックに染まった騎士団の様子に、もはや歴戦練磨の面影はない。



まるで抜き身の真剣を喉元に突き付けられている様な強烈な殺気の中、勇敢にも兵を引かす時間稼ぎの為に、ただ1人残ったローバル大将軍。



「……フッ……フッ……」



息を整えようと試みるがまるで上手くいかない。かつて討伐したドラゴンが可愛く感じられる程の圧倒的な圧迫感。


兵を逃す為に残りはしたが、どうしたら良いのかまるで分からない。そんな彼の狼狽を感じたのか黒髪の少年が口を開いた。



「安心してよ、今日は宣戦布告の挨拶でここに来ただけだから」



ニコリとした微笑と共にそう言うと、刀を上段に構え魔力を込め出した黒髪の少年。


ズゴゴゴと、まるで大地が震えているかの様な凄まじい魔力が刀に注ぎ込まれて行く。いや実際に彼の魔力で大気が震えているのだ。


何をしようとしているのかは分からないが、只事でない事だけは間違いない。



(…… し、信じられん、これ程の魔力を唯の人が持てるものなのか?)



その行為を止めなくてはならない立場なのだが、刀の殺気に当てられたローバル大将軍の体が動く事はなかった。


そして時間にしてほんの数秒、魔力を注ぎ込んだ黒髪の少年が持つ刀が、恒星の如き凄まじい輝きを放ちだしたのだ。



「王都だ『渡世丸』、この王都を城ごと断て」



一瞬の閃光。


黒髪の少年がそう言い終わるや否や、何気に振り下ろされた刀から凄まじいまでの閃光が放たれ、辺り一面を覆い尽くして行く。


そして光が晴れた後には、大地ごと真っ二つに裂かれた50センチ程の底が見えない裂け目が、はるか城の方にまで続いていたのだ。



「なっ…… 」



ローバル大将軍は、自身の真横に出来た大地の裂け目に驚愕の視線を向ける。


その裂け目はここからでも見える白亜の城を、分厚い岩積みの城壁をも切り裂いて、はるか彼方まで続いて見えた。



黒髪の少年は言葉通りに王都を両断したのだ。



(…… ひ、人に、唯の人に成せる術では無い…… )



今までに体験した事のない圧倒的なまでの力を目にして、無気力にも身体の力が抜けて行く。


この者が国幽斎だと云う事は話の節々から分かった。だがたとえ目の前の少年が王国に仇なす逆賊だと分かっていても、争い合う気力など彼には無かった。



たとえもし彼に斬り掛かったとしても、黒髪の少年の背後に立つ不気味な男に、難なく止めらると分かるからだ。


いつの間にか少年を守る様にその背後に移動していた男。ドラゴンにも勝る圧倒的な存在感を放つ異様の男



「…… (こ、この者達がその気になれば王都は、いや、王国は簡単に滅びるだろう…… )


この一連の出来事は彼にそう悟らせるだけのインパクトがあった様だ。だがそんな彼の考えも、少年が発した次の言葉によって安堵へと変わる。



「ああ安心してよ、宣戦布告はしたけど虐殺の趣味はないからさ。話し合いたいて言うならいつでも歓迎するよ」



少年の言葉通り、裂け目は主要通路の丁度真ん中を走っており、意図的に人の居なくなるタイミングを測ったのか、見た限りの人的被害は無さそうに見える。


どの様なトリックかは分からないが、この訪問者に更なる脅威を覚えるに足る事実だ。



「期限は2日、共存か破滅か良く考えて返答してね。隊長さん、じゃあよろしく」


そして訪問者の2人はその言葉を置き土産にし、最初に現れた時の様に黒い渦と共に去って行った。



「…… 去ったのか?」



しばし唖然と彼等が消えた空間を眺めていたローバル大将軍。自身が助かった事より、王都が無事に見逃された事の方に安堵を覚える。


まああの何処までも続く大地の裂け目を除けばの話しだが……



「……まだだ、まだ始まりに過ぎぬのだ。こうしては居れぬ、あの脅威を急ぎ陛下にお伝えせねば……」



そして我を取り戻すとローバル大将軍は、王国の存亡がかかった黒髪の少年の置き土産を伝えるために、慌てて真っ二つに裂けた王城を目指して進み始めた。



この日この時から、キングランクのマスターメナス国幽斎の名は、決して争い合ってはいけないアンタッチャブルとして全世界へと広がっていった。




【第一話、地下室の怪】



僕の名前は薬師寺清司(ヤクシジセイジ)、今年高校に入学したばかりの冴えないモブ男だ。見た目も普通のそこら辺にいるモブと変わらない容姿。


成績も中の中とまさにモブの中のモブ、キングオブモブだ。


趣味はない。幼少の頃から学校以外での時間はある事に取られている。それが趣味とも言えるが、どうなんだろう?


それはお祖父ちゃんが残した魔導書『死霊組成』を使った様々な実験だ。


そう僕は魔導書『死霊組成』の所有者なのだ。



お祖父ちゃんから魔導書の話しを聞いた時は少なからず戸惑いもあったが、最近では暇な時は常にこの魔導書を読んで過ごしている。


今では趣味の領域を超えて、生業といっても過言ではない程に僕の一部とかしているのだ。


実際に現存する材料で作る事の出来る薬品や魔道具を、お祖父ちゃんの知り合いに買ってもらって小遣いを稼いでいる。



実験はもっぱらお祖父ちゃんが作った秘密の地下室で行っているため、他の者に見つかる心配はない。


それにこの地下は、防音、対衝撃などの処理が施されており、対魔法の防壁まである。


魔法なんて本当にあったんだね。



地下室へ続く扉もアダマン何とかという異世界製の金属を使用しており、軍で使うレベルの物を遥かに凌駕する物なのだ。


核シェルターと大して変わらない性能。

お祖父ちゃんは、この地下室以外では実験するなとも言っていた。



『ここなら余程の事がない限り外に迷惑はかかるまい。思う存分に楽しんでおくれ』


資産家でもあったお祖父ちゃん、死ぬ前に僕にこの地下室を残してくれたのだ。


たった1人の孫の僕にはとにかく優しくしてくれたお祖父ちゃん。



お祖父ちゃんから譲られた魔導書『死霊組成』は、またの名を"オスクリタ.ネグロモント"といい、かつてはかのネクロノミコンと双璧を成したと言われている魔導書だ。


何でもこの魔導書は、紀元前3000頃にどこかの世界に存在したという国アキロン、その王族が記したとされている品物。


眉唾物の話しだが、何故かその魔導書が代々我が家に伝わっている。嘘か誠か、異世界人が僕の薬師寺家の祖だとお祖父ちゃんが言っていたが……



この魔導書はすでに、お祖父ちゃんによって翻訳と改訳がされており、僕にも分かりやすい様にコミカルな絵柄の補助も付いている。


お祖父ちゃんは昔に漫画家だった過去もあってか、古典的な絵だが躍動感ある絵柄の補助には大満足。


そして1冊の魔導書を全9巻に分ける。それは魔導書の強力過ぎる力を分散させて、拙い僕にでも扱える様にしてくれたのだ。


そのサイズもコンパクトになり、かつカモフラージュの役割もこなしている。


何でも魔導書が放つ波動を表紙の七芒星が抑えているため、持ち主以外ではその内容を認識する事は出来ないとの事。


本来の原本はあまりの禍々しさに、耐性の無い人間は見ただけであの世行きか、脳を破壊されて記憶を失う。


それをこんな形の本に変えてしまうお祖父ちゃんの力量は、とてもじゃ無いが計り知れない。初心者の僕にでも扱える様にしてくれたのだ。



この魔導書、一見では漫画にしか見えないため、通学中や学校内でも読む事が出来る優れ物だ。


1〜2巻は用語の解説と魔導書の世界観の説明。いわゆる入門編というやつだ。この魔導書の創成神話は一見の価値あり。



3〜4巻は様々な薬品や魔道具と魔導武具の作成指南と使用法方。


様々な薬品や魔道具や魔導武具の効果と材料の入手手段、作り方まで書かれており、この2冊はかなりのページ数なため覚えるのには苦労をした。


魔導具は攻撃的な物から防御、補助とかなりの数に及び、それらの扱い方や作り方が載っている。


攻撃系だと周囲の魔力を一点に集めて解き放つ魔導砲なる物から、自動で敵を迎撃する7つの球体を操る魔導具がある。


"プリズム.レイ''と"セプテム.アイ''と呼ばれるこの2つの魔導具は、お祖父ちゃんが残してくれた物の中にも有る。


攻撃系の魔導具は攻撃力があり過ぎるため防御系の魔導具より取り扱いが難しく、その殆どの魔導具の作り方が封印されている。


その封印を解く方法は今のところは分からない。待っている攻撃系魔導具も、封印されているのか現時点では扱う事は出来ない。



その点扱い易い防御系だと、相手の悪意を察知して知らせてくれる魔導具や、悪意を跳ね返すカウンター系の魔導具なんかもある。


認識阻害や透明化などの効果がある魔道具も有り、素材はお祖父ちゃんが集めたストックがある。そして魔導具の性能もなかなかに役立ちそうな物ばかりだ。


魔導武具は狙った対象を追尾する槍や、自動で敵を攻撃する刀などがある。因みに今のところは魔導武具も封印されているため作る事は出来ない……



魔導具の作り方も、本来なら錬金術を極めた者で無ければ作れない品物。


だけどお祖父ちゃんが僕でも作れる様に、錬金術が組み込まれた術式をプログラミングし直してくれてある。そのため僕にでもそれらの魔道具を作る事が出来るのだ。


高度の魔導具作りに何より必要な物は錬成、精錬された高レベルの素材。それらの素材作りが1番の肝なのだ。


超重力によって集積された未知の金属を、3千度から1万度の超高温で加工しなくてはならない素材も有る。


今は低レベルの物しか作れないが、これから制作数をこなして段階を踏んでレベルアップしていけば良い。


素材さえあれば後は魔導書による強化と付与付けをするだけでいい。今はまだその段階の章を読んでいないため出来ないが、焦る事もないので気長にやって行くつもりだ。



コレ等の魔道具は魔導書から分かれた分霊の様なもので、魔道具を扱う事は魔導書を扱うに等しい事でもある。


ちなみに魔道具は他の者でも使う事が出来る。その場合でも魔導書の力を使った事に成るだしく、魔導書の生贄の要求が強まるデメリットもある。


流石は僕のお祖父ちゃん。感謝を込めて今度、大好きだった日本酒をお供えしよう。



5〜6巻は召喚陣の描き方と、召喚に必要な素材の説明、小型生物限定の召喚方法と退陣方法、様々な効果の術式などが記されている。


この2冊で召喚術の基礎を学ぶのだ。元に僕は、数匹の小型生物の召喚に成功している。


中には小型とはいえ危険な生物もいるだしい。だが隔離された地下室で実験を行い、退陣の呪文も同時に覚えるため今の所は問題ない。


術式には聴力や視力などの五感を上げる効果のあるものや、対象に低級の淫魔をくっ付けたり出来る嫌がらせのものも有り、なかなかに面白い。



7〜8巻は中型〜大型の生物の召喚、アイテムボックス習得の術式、暗記力向上の術式、高速思考の術式、ホムンクルスの作成、退陣呪文やそれらに必要な魔道具の説明が記されている。


この7巻と8巻には後に必須となる技術が載っているため、習得には時間をかけろとお祖父ちゃんも言っていた。


特に便利なのはアイテムボックス。異空間に物をしまう事が出来る大変便利な品物だ。


作った魔道具や素材も、あらかた貴重な物からこの中に納めて管理している。このアイテムボックスは持ち主の魔力量によって容量が決まる。


僕に魔力が有るのかは分からないが、扱えるという事は僕の中にもそんな不思議な力が有るという事。


お祖父ちゃん曰く、「地球人と異世界人では感覚が違う為、魔力が有ってもその存在に気付けない。


現に未だに僕は魔力が何たるかを理解出来ていない。お祖父ちゃんもそうだったと聞いているので、そうゆう物と納得するしかなさそうだ。



それと暗記力向上の術式はもっと早くに習得したかった……


まあ一巻から順番通りに読まなくては内容を理解出来ないため仕方ないのだが。


それに僕のためにお祖父ちゃんが、段階を追って覚えていける様にしてくれたのだと思う。魔導書の能力にあまり頼り過ぎるなという事だ。



そして最後の第9巻には生者、死者、生者の組成。生まれ変わった生者、死者の制御、消滅。異世界へ続くゲートの開き方、渡り方、戻り方のゲート三原則。


異空間から超位の存在を呼び出す術式。壊れた魂を再生、修復する方法。一度に3つの考え事が出来る様になる『並列思考』の術式。魔導書言語、異世界言語の翻訳能力などが記されている。


この第9巻が魔導書『死霊組成』のクライマックスにして、この魔導書の真髄が書かれた最重要な一冊だ。


そしてこの9巻だけは魔導書それ自体が『死霊組成』など様々な術式の土台となっているため、他の者には見ることすら出来ない。


この9巻が9冊ある魔導書の本体と言っても過言では無い。



異世界への行き方なんて危険な香りがプンプンするし、生者、死者の組成と消滅なんてとてもヤバそうだ。


魂の再生、修復なんて、そうそう使う機会は無いだろう。


それでもお祖父ちゃん曰くこの魔導書の原本には、異次元の亜空間に漂う太古の神々などを呼び出す禁断の秘術も記されているという話だ。


だがそれらの秘術、行為はあまりにも危険な行為のため、記載はせずに魔導書の原本は異空間に厳重に封印されているという。



過ぎた力は身を滅ぼす、持たぬが吉という事だ。

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