外道の道も本能故
モロモロ
第1話 誕生
暗闇の中、視界の前には二つの選択肢が浮かび上がっていた。
「ここは何処だ?自分は誰なんだ?」
そんな疑問が頭をよぎるが、答えは浮かんでこない。ただ、一つだけ確信があった。
「やるべきことがある」
その感覚は、本能から来るものだったのか、声が聞こえたのか、それとも意思として自覚していたのかは曖昧だ。
しかし、その言葉ははっきりと響いた。
「ダンジョンを極めよ!」
その指令だけが明確に心の中に刻み込まれた。
迷いはない、やるべきことがあるのだから。息を吸うように自然とその役割が理解できるのだ。
「これが本能ってやつか」
そう思いつつ、選択肢に目を向ける。
<生き方>
<生きる>
迷わず選んだ。
<生きる>←
「ピコッ」
次に現れたのは選択肢の一覧だった。
<アニマル系>
<人系>
<魔物系>
<妖精系>
<植物系>
<昆虫系>
<ランダム>
一瞬迷ったが、やがて指が動いた。
<ランダム> ←
「ピコッ」
その瞬間、意識が鮮明に戻り、目の前の光景が広がる。
大きな人間たちが目の前の街道を往来している。
右手には高い城壁があり、その先には大きな門が見える。
門番たちが厳しく出入りを監視している様子がうかがえた。
「ここは町の入り口か」
俺はふとそう思いながら、少し街道から離れた場所に足を運んだ。
そして手に持つ「DPダンジョンポイント」を使い、周囲を見渡して20メートルほどの洞窟ダンジョンを即座に作り出す。
地面に直径2メートルほどの大きな穴が突然現れ、その穴は緩やかな傾斜を描いて奥へと続いていた。
「これがダンジョンか」
そう呟きながら、自らをダンジョンの最奥にテレポートさせた。
魔力を使い果たしたかのように、俺はぐったりと地面に横たわる。
どれほどの時間が過ぎたのだろうか。
いつしか1日は経った気がした。
気づけば「DPダンジョンポイント」が回復しているようだった。
俺はゆっくりと目を開けたが、視界の右端に何やらぼんやりとした黄色い光がチラついているのに気づいた。
意識を集中させると、その黄色い物体は近づいてきて、スイッチのように見えた。
「何だこれ…」
とりあえず、押すのは危険かもしれない。
青い光が視界の左端にも薄っすらと見えていたが、こちらもスイッチのようだ。
何か意味がありそうだが、今はとにかく余裕がない。
「スライムを召喚してみるか」
俺は再び溜まった「DPダンジョンポイント」を使い、地面に光る円を作り出した。
円の中から、ポヨンとした愛らしいスライムが姿を現す。その愛らしい姿に思わず微笑んだ。
「ポヨポヨしてるな…大事にしてやるからな」
そのスライムは、洞窟の入り口へとゆっくり進んでいく。
その後ろ姿さえも愛らしく、俺は見守るだけだった。
再び「DPダンジョンポイント」を使い果たし、俺は洞窟の床に身を横たえた。
そのままスライムの動きを意識してみると、不思議なことに彼の視界が俺の頭に映し出された。
どうやらダンジョン内の魔物の視界を共有できるようだ。
スライムが洞窟の入り口に到達し、そしてまたこちらへ戻ってくる様子が視える。
翌日、目が覚めた瞬間、再びスライムの視界を意識した。
しかし、反応が無い。何かがおかしい。洞窟内の様子を確認してみると、スライムの死骸が視える場所があった。
そこへテレポートすると、干からびたスライムの死体が横たわっていた。
「ごめんよ、スライム第一号…」
俺はその死骸に向かって号泣し、後悔に苛まれた。
しかし、その命が「DPダンジョンポイント」へと変わり、俺のポイントは2倍になっていた。
息苦しいほどのエネルギーが体を満たし、再度スライムを召喚するとともに、洞窟内に草を配置した。
次の日、スライムは元気に洞窟内を歩き回っていた。
草を食べる様子にほのぼのとした気持ちになるが、目を覚ますと洞窟内に不審な動きがあった。
「誰かが草を摘み取っている…」
意識を集中させると、どうやら町人ルックという男が草を集めているらしい。
俺はその様子にイライラし始めた。
「スライム、出動だ!」
スライムをルックの元にテレポートさせ、俺は彼を排除するつもりでスライムに命令を下したのだった。
この物語は、主人公がダンジョンの主として成長していく物語。
やがて彼は自らの力でダンジョンを築き上げ、侵入者や敵対者と対峙していく。
そして、その先に何が待ち受けるのかはまだ誰も知らない。
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