読み切りを書く日々。

ヰ野瀬

1日目

 こんなに気持ちのいい日に僕はどうしてこんなところで眠っているのだろう。木陰に仰向けで眠っていたせいか、背中が草や土まみれになってしまった。帰りたいと重い腰をあげて薄暗くなってしまった帰路につく。

 日が落ちるのも早くなって、家に着くころには真っ暗だ。ひなたぼっこをしていた友人は僕を起こさずに帰ってしまった薄情者みたいだし、しょうがない。だからといって仲が悪いわけではないんだ。むしろとても仲が良い。そんな彼とは昔からの付き合いで腐れ縁とも言える。

 ふと、思いついた。家に帰ってからお風呂に入浴後にまた外に出かけに行き、海で朝になるのを待つのはどうだろうか。カメラも借りて、朝日を撮る。それを朝にやつに送り付けて驚かせてやろう。そうしよう!

 ずっと海辺にいるというのは退屈なので仮眠をとることにした。リビングのソファに横になり、スマホでアラームをかけておく。

 目覚めて海辺に向かったころには朝日が綺麗に写真におさめられていることだろう。想像したら楽しくてわくわくした。

 そしてアラームが鳴り響く。四時という良い時間だ。

 さっそく、海辺に向かうとまだ薄暗かった。少しずつ、明るくなっていく景色を動画で撮っていた。あまりにも綺麗で魅入っていた。写真を撮り、加工をする。

 すぐに彼に送り付ける。返事は来ない。だけど、今度は一緒にこれたら楽しいだろうなとそう思った。

「綺麗だな」

 気づいたら一言、そう呟いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

読み切りを書く日々。 ヰ野瀬 @Innoce_swag

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る