ロココ

天川裕司

ロココ

タイトル:ロココ


(NA:ロココ)


私の名前はロココ。

いつも友達の優子と一緒に並んで歩き、

いろんなアドバイスをしてあげている。

全部、本当は優子がしたい事。

これを代弁してあげているのに優子は

体裁ばかり繕い格好ばかりつける性格だから、

全然私の言うことを聞かない。


この前だって酔っ払いに絡まれていた時…

ロココ「もう!こんなヤツやっちゃいなよ!ほら、そこにちょうどイイ大きさの石があるじゃない」

って言ってあげても優子は、

「やっぱりそんな事できない…そんな恐ろしい事…」

ってずっと耐えていた。


この子の悪いところは

自分の思った事を正直に行動で示さず、

全部包み隠すように我慢してしまう事。

それが本当はわかっているくせに

自分で直そうとしない。


だから私がこんなに口を酸っぱくして

言ってあげてるのに!どうして言うこと聞かないの?

優子と私は1番の親友で、1番付き合いが長い。

それも優子にはよくわかってる筈。


優子は不幸な人生の送り手だったのか。

立て続けに嫌な事ばかりが起きていた。


両親が早くに他界したのがその始まりで、

それからと言うもの

生活の後ろ盾を無くしてしまった優子は、

いろんな悪い奴らに言い寄られ足元も見られ、

生活の弱みを突かれるように持ってる物は奪われ、

不条理な暴力も受け、根も葉もない誹謗中傷、

風評まで受け続けて来たのだ。


だからこそ、そんな時に出会った私たちは

互いに力を合わせて生きて行こうと2人で決めたのに、

最近になり優子は私の事を怖く思い始めたのか、

私の事を少し避けるようになっていた。

私しか友達が居ないから避けようも無いと言うのに。


私の身の上も優子と全く同じ。

早くに両親が他界して、嫌な事ばかりを受け続け、

乱暴された事もあれば誹謗中傷され続けた事もあり、

優子と同じように

この世を離れようとした事が何度もあった。


だから私は寂しいのだ。

そんな優子が自分から離れて行くようで。


でも私も人ごとながら、

優子にばかりに少し負担を掛け過ぎて居たのかもしれない。

その点は反省するけど、でも身を守るためだ。

私たちにはお互いでしか、

助け合える者が居ないんだから。


いわゆる不幸な人生。

そんな時、私たちの部屋に泥棒が入った。

私と優子はシェアハウスで一緒に暮らしてる。


不条理な暴力をまた持って来たヤツが居る。

こんなの、受けなくて良い暴力だ。

受ける必要の無い不安と恐怖。


優子「あわわわ…」

優子はただ震えていた。


泥棒の男は優子がこの部屋に

1人で住んでると分かった時、

「ふう…」と何か安心したような素振りで

金目の物を取った後、次は優子に向かって来た。


優子「あわわわ…や、やめて…やめて…」

「優子、ここまでされて黙ってるの?またやられ放題で終わっちゃうの?それでその後も傷を自ら背負って、これまで通りにずっと生きて行くつもり!?」


私はまた優子に発破を掛けてやった。

もう何千回も掛けて来てやったこんな言葉。


男「へへへw」

男が迫ってくる。逃げ場を失う優子。

「優子!!」

渾身の力を込めて私が怒鳴った時、優子は初めて

私の言う事をそのまま素直に聞いたんだ。


優子「………わかったわ。アンタの言う通りにしてあげる」


優子は男に抱かれる素振りをしながら男の懐に入り、

あらかじめ隠し持っていた

ポケットの中のナイフを取り出し一気にやった。


男「ぐおっ!ぐおぉおぉ…!」

私が教えた急所を刺したので、男は助からなかった。

まぁこんな事をした男なんだから自業自得。


(NA:優子)

(検察の取り調べ中)


警察「まぁ今回はそれなりに正当防衛が認められるとは思いますけど、それでも…」


私はほとんど話を聞いてなかった。

私の横に居る彼女に話し掛けていた。


「これで良かったのよね。これで良かったんでしょ?ねぇこのあと私どうなるの?」

「あなたがやれって言ってやったんだから、このあともちゃんと責任取ってくれるんでしょうね…?」

「でないと私、いくらあなたでも承知しないわ…」


警察「……何を言ってるんですか?」


彼女は汚い。

あんな事を私に言い続けて「やれやれ」なんて

そそのかし続けてきたくせに、

こんな時になって、

この状況が全く自分に関係無いみたいな顔で

どこか知らないところに消えてるんだから。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=K0qnVdRCAB4

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ロココ 天川裕司 @tenkawayuji

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