第2話 転生ヤモリ、虫を食べる
(はい、どうも〜……空腹でもはや胃袋ごと吐き出しちゃいそうな、元女子中学生のヤモリですぅ……)
転生初日、あの
ヤモリは、大体3日くらい食べなくても平気らしいけどね。
生まれたて逃走
(これは完全な無理ゲーですわ。取り敢えず、上の階まで登ってみたけどっ……!!洞窟の出口も発見したけどっ……!!出口には三重で蜘蛛の巣が張られてた……出口なのに出れねぇじゃん!!)
イナゴから逃げた時に横側にも移動した事で、最初に落ちたところから随分離れたのを良い事に、私はヤモリの体を最大限利用して全力で上まで登り、この洞窟の出口を見つけて来た。
だが、あの巨大蜘蛛がウロウロとしている上に……出口は三段階に張られた蜘蛛の巣で、完全に
(はい、戦わずに出て行けるなら最善だと思いましたが、甘かったです……あ〜泣きたい。やっぱり、最初に決めた方針しかないかな?)
その方針の内容とは……この洞窟の攻略。すなわち、私以外の存在の
(最弱クラスである上に、そもそも自分が何を出来るかもわかっていない私が立てる方針としては
今だって、四日かけて確保できたご飯は
……はぁ。もう、やだ。
転生して初のご飯が、イナゴ。
それも、なんも加工されてない“まんま”のやつ。
(嫌だ〜、
…………。
(やっぱやだぁぁぁぁぁぁあぁぁああああああ!! イナゴ食べるとかとか、マジで無理すぎるよぉ!!)
じゃあ、死ぬ?
そんな声が、聞こえた気がした。
(それはぜぇったいに、やだやだやだやだやだぁああああ!!)
ならもう食べるしかなくない?
究極の二択すぎる……泣きたい。
もう泣いて良いよね?
何?イナゴ食べるか死ぬかの二択とか……イジメかな?
この世界が、私をイジメてくる……。
(うぐぅ……この
涙目で覚悟を決めて、カプッと
(
体を
そして何より、肉の味が最悪だった。
もちろん手元に火なんてものはないので生肉なのだが、臭いのだ。
日本という食に異常なまでにこだわる国の人間だったので、私は今まで肉が臭いと思ったことがなかった。
だが、今回初めて、肉が臭いというのはこういう事なのかと知った。
とてもじゃないが、まともな顔をして食べる事は出来ない。
しかも、何故かパサパサしてるのだ。
肉の質も硬くて、口内から水分が奪われていく。
私の今の気分は、臭くて異常に硬いスルメを延々噛み続けているような感じだ。
ウエッ……!! あ〜、無理。吐きそう。
これ、毒あるとか言われても
そう思うくらいには、食べるのに拒否反応が起きる。
足とか、ほとんど可食部無いし。カニの足の先の方みたいな感じだ。
いや、カニは美味いがイナゴは不味いから、一緒にしたらカニに失礼か。
黙々と、無理やり口に入れては吐くという微塵も生産性の無い行為をしておそらく二時間近く経った頃、やっとイナゴの姿が消えた。
(ちゃんと飲み込めたのは、イナゴの可食部の半分くらいかな……? まぁ、イナゴも幼体とはいえデカかったし。それだけ胃に入れれば、二日はもつでしょ。
……そして、私はその二日間で、この洞窟攻略……題して『洞窟の自分より強い奴ら全員ぶっ殺し作戦』を行う際の
二日後にまた何かを食べないといけないという無情な現実からは目を背け、私は二日間での目標のみを、その目に写した。
次は、もうちょっとマシなものを食べたいなぁ……ヘビとかは、
この世界じゃヘビ様、蜘蛛に下剋上されるような生き物らしいし……私みたいな奴でも、ワンチャンいける説浮上…………冷静に考えると無理だ。却下しよう。
(いや、もうイナゴのダメージデカすぎ……変なこと考えるようになってるわ。今日は、諦めて寝よう。大丈夫。明日から頑張るから。明日からぁ……)
私は近くにポカリと空いていた適当な横穴に体を横たえ、絶対に頑張らない&成功しないダイエットの時と同じセリフを思いながら、そっと目を閉じた。
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