第11話 カイルと決闘
「へえ、ここが訓練場か」
俺はあのクロドの話に乗り、魔法学園の敷地にある訓練場に移動していた。
周りを見渡すと、かなり整えられた設備であり、戦うには十分な場所であると確認できる。
「ではこれより、グレイス公爵家の令息、アレン・レイト・グレイスと、平民出身の剣士、カイル・リューコスの決闘を始めます」
審判役をしている学園生が、腹から声を上げてそう宣言する。
(全く、普通な学園生活を送りたいというのに、運命はなかなか俺を自由にさせてくれないな)
俺はそう心の中で思いながら少し溜め息を吐き、対峙するであろう勇者カイルに目線を移す。
「絶対に僕が勝つ……アレンを倒せば僕の評価が上がり全て上手くいく!!」
なんかカイルがブツブツと呟いているが、俺は気にしない。
この決闘に負ければ俺の学園生活は地に堕ちてしまうだろう。
だから、俺も多少本気を出させてもらう。
相手は『剣聖』のスキルを持った主人公だ。
相手にとって不足はない。
「さあ、さっさと始めようカイル」
「ならお望み通り行くぞ!
カイルは腰に付けていた剣を鞘から抜き、俺に目掛けて剣を振り下ろしてくる。
しかも魔力を付与した剣術だ、こんな高度なコントロールはやはり剣聖持ちといったところか。だが――
「第3級魔法 《フェニックス・フレイム》」
俺の左手から膨大な魔力が溢れ、激しい炎を放たれる。
(まあ、この程度の魔法ならカイルでも簡単に……ん?)
俺はまずカイルの実力がどれくらいか確認をしたく、第3級魔法の中でもかなり下の魔法を使ったんだが。
「ゴッはあ、ど、どうして、お前が」
なんか俺のフレイムをカイルはモロに喰らっている。
てっきりその《ファイアソード》で叩き斬ると思っていたんだが、何かあったのか?
「どうしたカイル? 何故俺のフレイムを斬らなかった」
「じょ、冗談言うな! 第3級魔法なんか今の俺に斬れるわけないだろう! てか、なんでお前はそんな高度な魔法が使えるんだよ!?」
「ああ、この魔法は独学で習得したんだ、凄いだろう?」
「舐めるのもいい加減にしろ!
怒り狂ったカイルは、先ほどの剣技だと相性が悪いと感じたのか、水属性の
「これならお前も!」
「第3
俺は竜の魔力に等しい魔法、ドラゴニッククラスの魔法をカイルに放つ。
左手を高く掲げると、まるで嵐が起こるかのように、強烈な風が渦を巻き始めた。
周囲の空気が震え、温度が急激に下がり始める。
「くっ……! こんな魔法、どうやって防げばいいんだ!」
カイルは焦った様子で、すぐに防御の体制を取る。
俺の放たれた嵐はカイルの方向に突進していき、やがてカイルを飲み込んでいく。
そしてカイルが場外に飛ばされると、先程までガヤガヤしていた学生達が静寂に包まれる。
「審判、もう勝敗はついたぞ?」
俺は唖然としている審判に声を掛ける。
一瞬の勝負だったのか、審判はあまり状況が飲み込めていなかったようだ。
「あ、す、すみません! カ、カイルの場外負けにより、アレン様の勝利とします!」
―――
これからも更新頻度あげていきますので、何卒、★とフォローをお願いしますm(__)m
あなたの★、そしてフォローがめちゃめちゃ励みになります!
※目次ページの「フォローする」ボタンを押せばフォローすることごできます。
※また★は、ページ下部にある星マークから行えます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます