第6話 カレーパンで煕を釣る
チャイムが鳴って、授業が終わる。
煕はスマホのラインが気になった。さっき送ったメッセージの返事が気になる。
それを斜め後ろから修哉の視線が送られる。いつも一緒に購買へパンを買いに行くのが、全然席を立とうとしない。
睨み続けてもなぜかご機嫌の煕にイライラする。
「ちくっしょー、誰のライン見てるんだよ」
後ろから覗きこみ、ご機嫌の煕のスマホを取った。嫉妬心が強くなる。
「あ、おい。勝手に取るなよ!!」
「……か、彼女?!」
煕は修哉にスマホを奪われて、すぐに取り返した。
「教わらなかったのか? 人の物を勝手に取るなって。まったく、さぞかしごりっぱなところでお育ちですね」
筋を立てて、怒る。本気モードの煕を見たことがない。相手に本気なのだろうか。修哉はひどく嫉妬する。
「俺と言うものがありながら、誰と関わってるんだよ!! 俺を忘れるんじゃない」
「はぁ? 俺、男に興味ないけど?」
「あ、いや。あの、そういう意味じゃないって。いつも昼休み行くだろ? 購買に」
「……いつも行ってたけど。今日は遠慮しとく」
「え、マジで?行かないの? 煕の好きなカレーパンおごるぞ?」
じっと修哉を見る煕。スマホをチラ見して、修哉を見て、スマホを見てを繰り返した。にたぁと笑顔になる。
「それは買いにいかないとな」
煕は修哉の背中をたたいた。璃乃に次々メッセージのやり取りしていたが、中断した。今日のお昼はコンビニおにぎり1つしか用意していなかった。明らかに足りないと思ったからだ。
「よし行こう」
(カレーパン勝利だ。やった)
修哉はガッツポーズをとった。煕のスマホ画面では璃乃のメッセージに既読して返事をしなかった。既読スルー状態になっていて、璃乃はスマホをこまめに確認してずっと返事がなく、なんでだろうともやもやと頭を悩ませていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます