第42話

柔軟からはじめ、体を解していく。

ダンベルを持ち上げるとか、ガタイのいい男を背負い投げなんて私はできない。

そんな力がない。

スイッチ入っちゃうとそんなのお構い無しだけど。

それは仕事のときだけだから、今そのスイッチ入れろと言われても無理がある。

なんの罪もない人を痛めつけることはできない。


「っ、り、凛寧さんっっ」


「はい?」


「お、俺、新入りなんですけど、な、何すれっば、い、あ、え、いいで、しょ、しょうかっ」


「…」


噛みすぎではないだろうか。

そこまで緊張するもの?

ガチガチと歯を鳴らす佐藤くん・・・・


私はそれにフッと笑って、


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、佐藤くん。初めてなら、みんながやっていることを目で見て、それを取得することから始めればいいの」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る