黒に塗れる

第36話

小さい頃に一日中蔵に閉じ込められたことがあった。

真冬の時期だった。

空気が冷たくて肺が凍りそうで、手や足なんて寒さでもう感覚がなかった。


そんなのはどうでもよかった。


私がどうにかしたかったのはこの蔵の暗さ。

何も見えないというのにとても恐怖を感じて手も足も出なかった。


動こうと思えば動けた。

でも無理だった。

ただ暗闇に怯えた。


たかが一日

されど一日


その一日はとても長く感じた。


早く朝が来いと思っても時間を操れる訳では無い。

いつもと同じ速度で時間が過ぎていくことが腹立たしかった。


それから何度か蔵に入れられたことがあり、身体が暗闇に恐怖を覚え、二度と暗闇で眠りにつくことはできなくなった。

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