第4話
「…藍人くん」
鈴蘭会の屋敷に入ると、門のそばで膝をついている藍人くんを見つけた。
いつもズラリと並んでいる組員はいなく、皆捜索に当たっているのだと瞬時に理解した。
「凛羽てめぇ、なにしてたんだよ」
「…ごめん」
「おめぇがいながら!!なんでこんなことになんだって聞いてんだよ!!!!」
「…ごめんなさい」
「っ、凛寧…っ」
俺の胸ぐらを掴みあげて大粒の涙を流す藍人くん。
後ろから、利人くんが走ってきた。
「藍人、凛羽」
「てめぇが、いながら…っなんで凛寧が攫われんだ!!!目の前だぞ!!俺の、目の前で、っ」
「…」
「藍人、」
「…掴んでやれなかった」
「…」
「最後まで伸ばしていたあの手を!!!掴んでやれなかったんだ!!」
「藍人、八つ当たりはやめろ。凛羽は悪くねぇだろ」
「こいつが中まで凛寧のこと送ってればこんなことにならなかった!!」
「わかんねぇだろ。スパイがいたかもしれない。タラレバ言ったらキリねぇよ」
「くっそ…」
ズルズルと力が抜けたようにしゃがみこむ藍人くん。
俺はただ、前を見つめる。
「…俺の責任だ」
「ちげぇよ」
「俺が、ちゃんと、送って、ればっ」
自然と溢れた涙。
藍人くんは、そうだ、てめぇのせいだ、と言っていた。
利人くんは優しいから違うって言ってくれたけど、俺の注意不足だ。
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