ことば遊び
NANKICheese
第1話
⌘作成日 2020-08-04
【ことば遊び~ことわざの世怪】
ボーンボーン、カチッ、カチッ、カチッ、カチッ…古い柱時計の、時を刻む音が響いている。
その隣には、古い年代物の椅子に腰かける一人の男がいた。60ほどの年であろう、その男の名は、
哀縞はじーっと目を閉じ、過去の記憶を思い出していた。脳裏にふと浮かぶ、ある人の言葉。
『言葉は、形のない財産。それを決して、忘れてはならない。』
瞼の裏に見える、ほほ笑みを浮かべたお婆さんの姿。
お婆さんとは、ばあばと呼ばれていた骨董屋の
【過去を思い出す…巻き戻しのような走馬灯の画が流れる】
(セミの鳴き声)ミーンミーンミーンミーンミン、ジジジジジジジ————………
容赦なく照りつける太陽の下、田んぼと畑に囲まれた田舎道を、一人の若い男が歩いていた。
アスファルトから跳ね返る
「あ……あづい…」
男はどれぐらい歩いただろう。周辺には、店はおろか自販機すら見当たらない。
空になったペットボトルを、何度も何度も逆さまにする。わずかな一滴の水分を舌に感じながら、カラカラの喉を、ぐっと飲み込みんだ唾でしのいだ。
両足には、まるで見えない鉛の足かせがついているようだ。今にも叫びたくなる程の不快な感覚を、全身に味わいながらも、男はその歩みをやめようとはしなかった。
どうしても辿り着きたい場所があるからだ。
砂漠にも似た灼熱地獄、真っ直ぐな道は、蜃気楼で小刻みにリズムを刻んでいた。
その奥に、ゆらゆらと浮かび揺れている小さな町並みが見える。
男の目は見開き、少し表情に明るさが見えた。
やっと着いた…、目的の街に着いたのだ。足どりが速くなる。
(荒い息)「はっ、はっ、はっ…はっ……」
先ほどまでの重い足どりはそこにはなかった。我も忘れ行き咳かける。
「はっ、はっ、はあ、もう少しだ」
近づくにつれ、にぎやかな声が聞こえた。声の方に導かれるままに足を運ぶと、そこには老舗の商店街があった。
「ここ…か?あの店があるのは。」
商店街に入り、店の看板を順番に見ていく。
そう、男はある店を探していたのだ。
とても、摩訶不思議な骨董屋を…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます