第33話
どうやら、恋愛感情を有さない関係なら問題はないらしい。
目を細めて俺に向けてくれる顔が可愛らしくて、その頬を触ってみたくなるけどここは我慢だ。
そして、俺は気が付いた。
俺がさっき言った、俺の望むセフレの関係って、俺が千春に望んでたことじゃねえか。
酒の流れでなんとなく男女の仲になって、もう一度同じ流れになって、じゃあ付き合うかって。
付き合いは始めたものの、変わった事は千春が俺に”彼氏”としての行動を要求するようになったことくらい。そして、それは俺をめんどくさいと思わせていた。
暇な時間にちょこっとどっちかの部屋で会って、恋人っぽく甘い時間を楽しんで、それでセックス。なんつーか、一言で片づければ“恋人ごっこ”。
付き合うなんて名前だけで、俺が千春に求めていたのは”都合の良い女”。
片手間な関係に、煩雑さは必要なかった。
アラサーになって女一人大事に出来ないなんて何をやってるんだか、と思いつつも、変えたいとも、変える必要も見出せねえな。
反省をするわけではなく、ただたださっき終わった付き合いを分析してみれば、後ろからくぐもった声で「あけてー」と太い声が聞こえる。
さっきもらってたカタログギフトを眺めてた奈々ちゃんは、パッと立ち上がると小走りで声の方向に向かいドアを開けた。
ガタンと音と共にドアが開けば、よっちゃんがお盆を持って奈々ちゃんと一緒に俺の方に歩き始めて来た。
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