第6話

──…せめて、声だけでも聞きたい




駅のロッカーから、昨夜預けておいた荷物を取り出し、自宅へと帰る道中で、






私はもう一度佑弥くんに電話を掛けてみる。







【─…なんや、今忙しいねんけど】





6コールくらい鳴らしてやっと出てくれた彼。まぁ出てくれただけ有難いと思うことにしよう。






『会えないから…せめて電話だけでもしたいなぁって思ったんだけど…ダメ?』





離れているからこそ…素直になれる。大事な気持ちはちゃんとその時に伝えておかないと…次があるかどうかなんて、分からないからっ






【ふーん。電話でええんや?俺は莉久の顔みて話したいと思っとったけど…ええんやな?電話だけで】







私だって会いたいけど…それは明日まで無理だから、だからこうやって電話してるのにっ、

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