Life of Game【これはゲームであり、ゲームではない】

@kasumi_1014

ep.エデンの夜明け

隔離された都市「エデン」。かつて繁栄を誇ったこの場所は、今や死と破壊の象徴として世界中に知られている。高層ビルが立ち並び、鉄とガラスでできた無機質な風景が、無数の命を奪う戦場へと変わっていた。


「The one who Stands at the Top」、通称TST――この残酷な競技は、世界の注目を一身に集める。100人の選ばれし戦士たちが、唯一の勝者となるまで殺し合うゲーム。生き残る者には莫大な富とあらゆる要求を満たす権利が与えられ、その者の祖国には世界から無償の援助がもたらされる。だが、それ以上に彼らが手にするものは、世界を支配する力だ。


「神」とも称されるその権力は、絶対的なものであり、どんな国でも、どんな組織でも、一瞬で膝を折る。頂点に立つ者は、その意志で世界を動かすことができるのだ。


都市全体を覆う虚無感の中、日々、朝と夕方には同じ光景が繰り返される。参加者の150メートル付近に食糧と武器が落ちてくる。豊富なリソースが空から投下され、希望と恐怖が同時に訪れる瞬間だ。しかし、それは同時に絶望でもある。自らの位置が他の参加者に暴露されるリスクと、競争相手との接触を避けられない状況が、誰もがその場で戦うことを強要される。


そして、今回もまた100人の命が、運命のルーレットに放り込まれた。


最上 瞭は、その無機質な朝を迎えた。周囲に張り詰めた緊張感は、彼にとって馴染みのあるものだ。幼い頃からオンラインの戦場で鍛え上げられた彼は、何度もトッププレイヤーとしての称号を手にしてきた。だが、今日の戦いはそれとは違う。現実の命がかかり、失敗は許されない。


「俺の目的は一つだ」


彼は自らの決意を胸に、ピストルを握りしめる。その目は鋭く、誰にも読めない冷徹さを帯びていた。彼の願い――それは、独裁政治に支配されたこの世界を民主主義の平等な国へと変えること。力や金、権力に囚われない、才能や努力を正当に評価される世界を作ること。


「この世界に必要なのは、破壊だ。そして、再生だ」


彼の視界に、遠くの空から物資が落ちてくるのが見えた。食糧、そして武器。だが、それは同時に他の参加者たちをも引き寄せる、死の誘いだ。瞭は一瞬息を吸い込み、決断を下した。


戦いが始まる――それは、彼にとって運命を決する瞬間でもあった。

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