第四話 キレイにな〜〜れ
誰かがゴミ箱を開け閉めするバタン! という音におびえながらの短い眠りと、ゴミの中から食べれそうなモノを探しては
目が覚めるたびに積み上がっていくゴミの量は、初めて気がついたときの十倍くらいにはなっている。
もうそろそろゴミの山を登って身体全体で押し上げればゴミ箱のフタを開けれそうなんだけど、手を思いっきり伸ばすとまだ脇腹が痛いし、腰と膝も地味にジクジク痛くて結局ゴミの山の片すみにうずくまってしまう。
もうゴミが入らないくらいいっぱいになれば誰かがゴミ箱を空にするだろう。
その時がゴミ箱から外に出るチャンスだな。
しかし臭い。
それに髪の毛も身体もベトベトジットリ湿っていて気持ち悪い。
なんとかならないものか。
手のひらに貯めた水で顔を洗ったり口をすすいだりはしているが、風呂に入りたい。
熱いシャワーを浴びたい…。
んっ? 風呂とかシャワーとか…、なんだそれ?
わからない言葉を思い出そうとすると、頭が割れそうに痛くなる。
思わず頭の後ろを押さえると、大きなコブがある。
触ると熱い熱を持っていて、なんだかブヨブヨしたかたまりだ。
そーっと両手をコブに当てて『痛いの痛いの飛んでけ〜』と繰り返した。
髪の毛がジットリ湿っているので『キレイになぁ〜れ、キレイになぁ〜れ』と何度か繰り返してみた。
それでキレイになれば苦労はしないよな…。
そう思ったとたんに、みぞおちの奥から両手に何かしらの力が抜けて出た。
髪の毛を触るとサラサラとして乾いている。
キレイになったのか?
頭の後ろのコブも少し小さくなったようだ。
どうしてそうなるのかなんだかわからなかったが、結果がでているから、まぁいいかなと思った。
首まわりや脇の下、腹に股間を『キレイになぁ〜れ』と触っていたら、なんとなく爽やかになったが、みぞおちの奥がひきつる痛みがひどくなってきた。
なんだかドクンドクンと脈打つような感じもする。
みぞおちの奥が痛くなくなるように『痛いの痛いの飛んでけ〜』と心の中で思っているうちに気を失っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます