第三話 食べかけのパン
バタン! っという大きな音がしてビクッと身体を震わせて目覚めた。
ドサドサドサっとナニカが落ちてきた。
目の前に転がってきたのは誰かの歯型がついたパンのかけらだ。
ソレを拾い上げて匂いを嗅いだ。
腐ってはいないな…。
歯型がついたパンの端をかじった。
石を噛んでいるように固いが少しずつ歯で削って飲み込んだ。
臭くないまともな食べ物は久しぶりだ。
手のひらに水滴を貯めながらパンを齧った。
歯型の手前でパンはあきらめた。
誰かの食べかけのパンは美味くは無いが、空腹なので我慢した。
手のひらに貯まった水を何度も飲んで少し腹をふくらませた。
まだなにか食べれるモノが無いかと目をこらすと、肉が一切れついた木の串を見つけた。
ソレを口に入れると、かなり塩っぱいが食べれる。
手のひらの水で塩気を流し込んだ。
食べ終わった木の串は…破れた服の袖に刺しておいた。
身を守る武器にしては頼りないが、これしか無いからな。
それから葉物野菜の切れ端や果物の皮を見つけては食べた。
手のひらに貯まった水もたっぷり飲んで眠くなったのでそのまま寝た。
それから何度かバタン! という大きな音にビクつきながら浅い眠りをむさぼった。
目が覚めるたびに手の届くところに転がっている食べかけのパンや肉のついた串を食べた。
身体の痛みが少しずつ薄れてきた頃に食べた肉のかたまりがしっかり火が中まで通っていなかったようで、飲み込んでしばらくしてから、猛烈に腹が痛くなった。
しばらく我慢していたが、便意に耐えきれずにゴミ箱の片隅に這いずって行って用を足した。
キリキリ痛む腹に『このまま死ぬのかな…』と思ったが、腹に手を当てながら『痛いの・痛いの・飛んでけ〜〜』と頭の中で強く念じた。
なんでこんなことしてるんだろう。
そんなことで痛みが消えるわけないだろう…。
だがだんだん腹の痛みが引いてきて、疲れ果ててそのまま気絶したようだ。
誰かがナニカ言ってる…。
薄れていく意識の中でオレはそう思った。
でもそんなことよりも意識を失えば痛みから解放されるという思いでいっぱいで記憶には残らなかった。
オレは覚えていないが、誰かの声は言った。
【毒耐性:小を獲得しました】
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