第2話

今日は篠木目の帰りが遅いので、又庭が料理を作ることになっている。だが部活から帰った又庭は、なんとなくその気になれずに、スマホをいじったりテレビを見たりしていた。

「今日は何作るか…」口に出すとそれが悩みなのだとわかった。テレビのスイッチを切りスマホを置いて、冷蔵庫の中を覗くが、上手いアイデアが思いつかない。


冷蔵庫の中には昨日残った大根や、サラダの残りがあった。

そこで又庭は、近所のスーパーへ買い物に行くことにした。

そこで鮭を買い、今日はシンプルに焼き魚と味噌汁とご飯にして、昨日のサラダを作った野菜の残りとハムでサラダを作ろうと思った。


スーパーへ入った又庭は、足を止めた。今日は、福引が行われていた。

買い物の後、レシートを確認してもらい福引をすると、なんと、高級ブレッドが当たり、又庭は上機嫌だった。スーパーの売り場へ戻り、ちょっといいジャムを買ってしまった。買ってから、これではスーパーの思う壺にはまっているではないかと気付き、苦笑した。


家へ帰り、米を研いで炊飯器にセットして、魚を焼いた。サラダを黙々と作りながら、魚が焼ける匂いを嗅いでいると、篠木目が帰ってきた。

「ただいま、木賊。」

名前を呼ばれて、又庭は、犬のように、エプロンをしたまま駆け寄った。

「おかえりなさい、博人さん。」


スーパーのくじ引きで高級なパンが当たったんです、と、又庭は嬉しそうに篠木目に告げる。その様子を見ていて、何とはなしに、篠木目も嬉しくなった。

「明日は美味しいパンだな、少し早起きして。」篠木目がそういうと、又庭が嬉しそうに笑った。

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