吸血鬼と生活を始めました
@tomorin0117
第1話
カーテンは外部から中の様子が見えないように締め切っている。光を遮断していることで、部屋の中には暗闇が広がっている。
「私、人間の血を吸うのは初めてなんです」
部屋の中に置かれているベット。
「安心してください。わたしと同じように、吸血鬼にはなりませんから」
少女は安心させるように私の耳元で囁いた後、白い口元は開くと、鋭利に輝いている二本の牙が姿を見せる。
「動かないでくださいね。注射と同じですから」
押し倒されていることで身動きは出来ず、少女は食事を楽しむような笑みを浮かべてから、私の首筋に牙を突き立てる。
「っ!?」
注射の痛みとは別次元の痛みが全身に伝わる。
(痛みと炎で焼かれているような感覚で注射器とは別次元でやばい!)
私の体は電子レンジの中にいるような高温に包まれており、実際は焼かれているわけではないんだけど、体は熱を宿していた。
「美味しい……。やっぱり、私が見つけた人間ですね♪」
頬を紅潮させながら首筋から牙を放すと、赤い雫がついていた。
(あれが私の血……。これからこの子にあげるんだ)
血液が失われたことで痛みとは貧血の状態に陥ったような冷たい感覚が広がっていく。
「終わり……?」
少女が顔を上げたことで、私は自分の体が深海に沈んでいくような感覚を感じながら尋ねる。
「もう少しください」
私の反応を確かめるように、再度私の首に牙を突き立てる。全身を焼かれているような熱量の痛みと冷感で私の意識は徐々に遠くなっていく。
(漫画の世界……みたい)
クラスメイトが良く話している話にファンタジー世界が良く出てくるんだけど、今の状況を見せたらどんな反応をするだろうか。
(眠い……)
楽しむように、吸血行為をしている少女の顔を最後に私の意識は闇の奥に消えていった。
吸血鬼と生活を始めました @tomorin0117
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