第22話
あいは落ち込んだ気分のまま家の中へ入り、今日の検査の結果(子供ができない)を内緒にする事を心に決める
しばらくすると洋太も家に帰って来た
『ただいまぁ~、あいちゃ~ん、あいちゃんいなのぉ~~?』
玄関であいを呼ぶ洋太
するとその声に気付き二階の自分の部屋からあいが降りてきた
『お!洋太、おかえりぃ~、何処へ行ってたんだよ』
あいは笑顔で洋太を出迎えた
『あ、ああ、ちょっと高校の時の友達に頼まれちゃってさぁ、それよりあいちゃんこそどうしたんだよ、朝早くから出て行っただろ』
洋太は質問されると、逆に質問しその会話から逃げた
『ん、あ、ああ、あ!そう言えばさっき伸子ちゃんに会ったぞ!』
あいもまた話をはぐらかした
『え?伸子ちゃん?今頃何の用なんだろう?』
不思議そうに考える洋太
『それがさぁ、聞いてくれよ洋太、もう伸子ちゃん酷いんだぜ、久しぶりに会ったのに、いきなり洋太と別れてくれって、まだ洋太の事好きなのか?でも確か諦めた筈だったんじゃなかったけ』
その話を聞いて、不思議そうにあいの方へ振り返る洋太
『・・・今頃?別れろ?う~~~ん、ちょっと俺にもわかんねぇなぁ~』
腕を組んで首ををかしげながら悩む洋太だが、今日の病院で言われた事(相方の検査)を思い出し
『あ!そういえばあいちゃん、今度一緒に病院へ検査に行かないか?』
検査という言葉に一瞬顔を強張らせる
あいは今日の病院での検査結果と自分が以前ビデオガール(人間じゃない)だった理由を思い出した為その事(妊娠できない)を洋太に知られたくなかった
『あ、ご、ごめん、洋太、俺病院嫌いなんだ、なんて言うかさぁ、辛気臭いって言うか臭いがって言うか』
苦笑いをしながら断った、いやむしろ逃げた
『そっか、ま、あいちゃんが嫌がるなら俺も無理にとは言わないよ』
洋太は少し残念そうに笑いながら言った
するとあいは洋太から本音を聞き出すかのような感じで、ソファーの上で顔を軽く上に向け上の空のような感じで洋太に問いかける
『なぁ、洋太、もしおれが、もしもだぞ、赤ちゃん出来ない体だったらどうする』
突然のあいのたとえ話に、右手の人差し指をあごに当て何か考え事をするような感じで
『え!!、そうだな、確かに赤ちゃんが出来ないのは悔しいけど、俺にはあいちゃんがいるから、それ以上のものはもう何も望まないよ』
言葉ではその場を取り繕う為言った台詞だが本音はやっぱり“欲しかった”またあいも同じ気持ちだった
あいはソファーの上で体操座りで縮こまりながら悔しそうな表情を浮かべていた
(ごめんな洋太、おれほんとうはあかちゃんできないんだ、おれ洋太のあかちゃん欲しいよ)
そんな悔しがるあいに洋太はその真意を知ってか知らずかあいの横に座って両肘を両腿に付け胸の前で手を重ね少し体を斜め前に倒し話し出した
『そりゃあ、子供が出来て家族が出来れば凄く楽しいと思う、でも今そんなに焦らなくても今はあいちゃんと二人の時間を大切にしたいと思うなぁ、おれは』
すると縮こまって塞込んでいたあいは突然洋太に飛び掛るように抱きつき
『じゃあ、今日もHしような』
泣いてるのを見られないように勢いよく抱きつきながら洋太の顔の横に顔を埋めた
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