第11話

『ただいま』


少し疲れ気味で家に帰ってきた洋太


でもその姿は疲れたのではなく、あいに対しての罪悪感によるものだった


『よぉ、洋太、遅かったな、飯できてるぞ』


満面の笑顔で洋太を迎えるあい


『あ、ああ、分かった、服着替えてくる』


洋太は重い口調で答えると、ゆっくり自分の部屋に向かった


洋太の様子を見て少し何かを勘ぐるあい


2Fから着替えを終えた洋太がゆっくり降りてくる


その洋太の目の前に


『ジャーーーーンッよぉ~~~たぁ~~~~~』


裸エプロンのあいの姿


あいは落ち込んだ洋太を励まそうと思ってやった、ちょっとした努力だった


『な、なんだよ、その格好』


やはりいくら落ち込んでいる洋太と言えどさすがに、この姿には心も落ち込んでいられなかった


『だって洋太、帰って来るなり元気なさそうだったから、少しでも元気付けてやろうと思ってさ、、、嫌いかこの格好』


エプロンをピラピラさせながら答えるあい


『い、いや、嫌いなんかじゃ、いや、むしろって、何言わせんじゃい』


いつもの洋太に戻った


『今日はこの格好で寝るまで起きてようっと、テヘッ』


かわいい笑顔で少しべろを出して子悪魔のようにみせるあい


『ば、ばか、俺だって男なんだぞ、早く服着ろよ』


つい目を逸らしながら説教をする洋太だが


『お食事が先?お風呂が先?それとも・あ・た・し・』


新妻の真似事をしながら、色目を使いふざけながら洋太に近付くが、洋太の我慢の限界を超えた瞬間


『ゴンッ!!』


『ってぇ~~~、もう何すんだよ』


両手で叩かれた所を押えながら洋太を見るあい


いつもの二人の生活リズムに戻った


しかし洋太は理由が何であれ、今日自分のした事で少し自己嫌悪に陥っていた

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