第30話
《ユーマのレベルが上がりました》
《ウルのレベルが上がりました》
《ルリのレベルが上がりました》
名前:ユーマ
レベル:17
職業:テイマー
所属ギルド :魔獣、冒険者
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ
スキル:鑑定、生活魔法、インベントリ、『テイマー』、『片手剣術』
装備品:大荒熊と荒猪の片手剣、大荒熊と劣狼の革鎧、大荒熊と劣狼の小手、大荒熊と劣狼のズボン、大荒熊と劣狼の靴、幸運の指輪(ビッグ・クイーンビー)
名前:ウル
レベル:17
種族:ホワイトウルフ
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ
スキル:勤勉、成長、インベントリ、『ホワイトウルフ』『氷魔法』
装備品:黒の首輪(魔獣)
名前:ルリ
レベル:17
種族:巨人
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ
スキル:忍耐、超回復、成長、インベントリ、『巨人』
装備品:黒の腕輪(魔獣)
「う〜〜〜ん」
「クゥ〜〜」
「アウ〜〜」
地下5階でボスを倒したあと、このまま先に進むべきか、他の場所を冒険するべきか悩んでいると、2人が俺の真似をして遊んでいる。
「魔石は200くらい集まったけど、装備はたったの4つだしな」
外ではそもそも装備品がドロップすることがほぼ無いため、そういう意味では4時間で4つ装備品が出たのは凄いのだが、使い道がなさそうだからなぁ。
名前:冒険者の弓(ダ)
効果:攻撃力+21、器用+3、筋力+1
名前:狩人の胸当て(ダ)
効果:防御力+22、器用+2、敏捷+2
名前:岩の大剣(ダ)
効果:攻撃力+25、筋力+6、敏捷-2
名前:忠誠の槍(ダ)
効果:攻撃力+24、筋力+2、器用+2、敏捷+1
それぞれ1階層に1つずつ手に入れることができたので、手に入れた順に並べてみたのだが、あまり性能に違いは見られない。
そして装備の説明を見ると、全てダンジョンドロップ品と書かれており、強化などは出来ないようだ。
「まぁ弱くはないな。まともな装備を持ってないのであれば、これは嬉しいか」
俺が鍛冶屋のアンさんに頼んだ時は、今の装備を全て店売りで10万Gくらいって言われたし、売れるのであれば金策にもなりそうではある。
「レベル上げができて、敵もいっぱい湧いてきて、ドロップ率は悪いけど魔石と装備が出るなら十分嬉しいんだろうな」
依頼よりも敵を倒したい人達にとっては、ダンジョンは良い場所か。
「よし、俺達はダンジョンじゃなくて外で色々やってこう!」
「クゥ!」「アウ!」
ダンジョンで何かすごいものをドロップしたという情報が入ったり、レベル上げをする時、あとは気分転換の時はここに来ることにしよう。
「確か階段を引き返せば良いんだよな」
また挑戦する時は初めからというのもなかなかクリアできない理由の1つかもな。
「いつの間にか外も明るいし、今回は北の街でご飯を食べるか」
「クゥクゥ!」「アウアウ!」
冒険者ギルドで1つ50Gの魔石を売り、北の街へと移動するのだった。
「帰ってきたなぁ」「クゥ」「アウ」
北の街に移動するつもりが、いつもの癖で家のクリスタルに移動してしまったので、ついでに水やりもしていこう。
「あ、フカさんおはようございます」
「ユーマくん、おはよう。随分と賑やかになったじゃないか」
「マウンテンモウ2体だけですけどね」
「ん? 奥の池にいるカモは違うのかい?」
そう言われて見てみると、確かに奥の方にある池で、家族らしきカモ達が泳いでいる。
「あれは違いますね。たぶん居心地が良さそうだから来たんだと思います」
「ユーマくんのことだから何か理由があって飼っているのかと思ったよ」
俺はカモを飼うと思われていたのか。
「まぁそれは良いとして、ユーマくんに少し相談があってね」
「はぁ、何でしょう?」
「その、依頼を受けてほしいんだ。もちろん無理にとは言わないよ」
今は俺達も手が空いてるし、全く問題はない。それにフカさんからの依頼は、出来るだけ受けておきたい。
「ええ、良いですよ。この水やりが終わって、街でご飯を食べる予定だったんで、その後なら空いてます。それとも今すぐの依頼でしたか?」
「いや、それでいいよ。なんならご飯も私の家で食べていくかい? その時に依頼の話もしよう」
ということでフカさんの提案に乗り、そのままお家にお邪魔することに。
「おかえりなさいませ。そちらは?」
「あぁ、隣の家のユーマくん達だよ。依頼をお願いするついでに朝ごはんに誘ったんだ」
フカさんの言葉を聞いて、執事らしき人が近くの使用人を呼んで耳打ちしている。
たぶん急に来た俺たちの食事の話だろなぁ。
「ではこのままリビングの方に行かれますか?」
「そうだな。そこで依頼の話をしながら待つとしよう」
そうしてフカさんとともにリビングまで案内される。
「そんなに身構えなくても大丈夫だよ。ほら、魔獣達のようにリラックスリラックス」
「あはは……」
俺の家も相当大きい方だが、ここはそれより更に大きい。
家の大きさに比べて人が少ないようには感じるが、それでもフカさんが使用人を雇うくらいの人だということを今頃になって意識し始めた。
「じゃあご飯が来るまでに依頼の話をしようか」
「はい、そうですね。受けるとは言いましたけど、俺に出来ることか分からないですし」
執事の方が紅茶を入れてくれ、そのままフカさんの側に立っている。
「では、依頼内容なんだが、うーん、あれだね。草むしり! っていうのは冗談で、」
「レイ様、カシワドリを依頼するのではなかったですか?」
「そ、そうそう、ド忘れしてね。ありがとうセバス」
依頼書を書いてくるからちょっと席を外すよ、と言ってフカさんはリビングから出ていった。
「ユーマ様ですよね。執事をやっておりますセバスです。主共々大変失礼いたしました」
すると執事のセバスさんが俺に謝ってくる。
「いえいえ、何も失礼なことなんて。セバスさんも顔を上げてください」
「レイ様が依頼をユーマ様にお願いしたのは私が原因なんです」
そう言うと、なぜ今回フカさんが俺に依頼をしようと言い出したのかの理由が語られた。
執事曰く、フカさんの独断であの家の買い手を自分で見つけに行ってしまった
執事曰く、フカさんの勝手な行動によって俺達に家の借金を背負わせた
執事曰く、フカさんの後先を考えない行動によって執事の私が各ギルドに頭を下げさせられた
執事曰く、フカさんに事情聴取したところ俺達に借金を背負わせておきながら依頼の1つも寄越さずにいると発覚
「そして、自由にしていいと言いながら借金を押し付けただけのあなたは何かすることがあるのでは、と声に出したところ、ユーマ様に依頼をすると家を飛び出していったのですが。あの方は思いのままに行動する時はいいのですが、何か決め事やルールがあると途端に駄目になるのです」
「ま、まぁ、思い切りのいい方ですよね。でも、魔獣のいる俺にとっては、家は本当にありがたかったですよ」
「3000万Gでもですか?」
「うっ、まぁそれは返済の期限が無かったので」
「ですが、素晴らしい方なのは間違いありません。そしてあの方に気に入られたユーマ様も素晴らしい方なのでしょう」
「いえ、俺はまだ家をもらっただけです」
「私から言うのは違うかもしれませんが、本当にお金に関しては急がなくて良いですよ。少しずつ余裕ができれば返すくらいで」
「あ、それはもう返す目処が立ってるので大丈夫です。心配してくれてありがとうございます」
セバスさんがしばらく固まり、目をパチパチとしたあと再び動き出す。
「さ、3000万Gの、か、返す目処ですか?」
「はい。遅くても明日中には返せると思います」
「そ、そうですか。(やはりレイ様が連れて来た方ということでしょう。いや、それにしてもプレイヤー様はこの世界に来てまだ5日目ですよ。それを……)」
何かブツブツ小声で話しだしたセバスさんだったが、こちらに見られているのを思い出したのか、咳払いを1つしたあと話し始める。
「え、ええ、では、急なお願いで申し訳ないのですが、ユーマ様の敷地内への立ち入り許可を私も頂きたいのですが、ど、どうでしょうか?」
本当に急に話が変わったが、フカさんの執事さんだし、何も問題ないだろう。
「それは大丈夫ですよ。というか、俺以外にも立ち入り許可付与の権限を渡したりって出来ないんですかね? 例えばフカさんがセバスさんに立ち入り許可を出せるような」
「それは出来ないようになっています。共同で購入された場合も代表者1人にしか立ち入り許可を出す権限はありません」
「へぇ、そうなんですね」
立ち入り許可ありがとうございました、と言ってセバスさんはフカさんの様子を見に言った。
「なんか食欲をそそるいいにおいがするな」
「クゥ〜」「アウ〜」
しばらくしてフカさんを連れてセバスさんが戻ってきた。
「おまたせしてごめんね。一応これが依頼書だよ」
捕獲依頼
内容:カシワドリ10体の捕獲
報酬:20000G
期限:1週間
そう言って見せてくれたのは、はじめの街で受けたものとは報酬額が全く違うものだった。
「えっと、高くないですか? はじめの街で同じような依頼を受けましたけど、その時は確か5体で3000Gくらいだったはず」
「それはギルドで受けた場合だよね。個人依頼だとこのくらいじゃないかな」
「ユーマ様、報酬額は気にせずに、依頼内容はどうでしょうか。(報酬は妥当ですよ。10体全てあまりいないメスの場合ですけどね。)」
俺はセバスさんからフカさんの事情を聞いているため、どうもこの依頼を受ける気にならない。本当にこの依頼を受けて欲しいなら別だけど。
「あの、やっぱり依頼は断らせていただいてもいいですか?」
「え!? そ、そうか。ちなみに何か依頼内容に不満でもあったかい?」
「本当にカシワドリが必要なら受けますけど、たぶんそうじゃないですよね。俺が1回カシワドリの捕獲依頼を受けたことはフカさんに話してますし、成功しやすい依頼を俺にくれたんじゃないですか?」
そう言うとフカさんは黙り込み、セバスさんの顔色を伺って、もう一度俺に向き直る。
「すまなかった。少しでも君の助けになりたくてね。それがどうだ、かえって気を使わせてしまったよ」
「いえ、お気持ちは嬉しいです。ただ、本当に依頼したいことはないですか? 正直同じような内容の依頼を受けるのは、新鮮さがなくて避けたいという気持ちもあったので」
すると、お食事のご用意ができました、と声がかかる。
「まずは食事にしようか。依頼の話はまたあとにしよう」
「そうですね。ご馳走になります」
「クゥ!」「アウ!」
並べられていくご飯を食べずに頑張って我慢しているウルとルリを撫でながら、今はせっかくのフカさんの家の食事に集中しようと思うのだった。
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