第38話 キャンセル
有紀子ちゃんという、うちの父と同業の友達がいた
うちの両親はよく悪口を言っていた
でも、私は関係なく仲良くしていた
ある日、うちで遊ぶ約束をしていたが有紀子ちゃんのお母さんから電話があり
今日は行けなくなったとのことだった
そっか・・・
くらいに思っていた
夕方、買い物から帰ってきた母が開口一番に言った
『有紀子ちゃん、生理になったんだって!スカートの後ろが血だらけで自転車に乗っていたんだってよ』
『え?』
そうか、うちに来る途中だったのか
なんか悪いことしちゃったな、という気持ちだった
続けて母が言った
『お前は絶対そんなことやめてよね、みっともない』
『・・・・・』
そんないい方しなくてもという気分だった
『ちゃんと、教えるのよ!お赤飯炊くんだから』
『・・・・・』
そんなの絶対にイヤだー!心の中で叫んだ!!
このころから、体格のいい子は初潮というものが始まりだした
そして、どこで井戸端会議をしているのか誰ちゃんが生理になっただの精通しただのという親たちのマウント合戦が始まったようだ
本人にしてみれば、恥ずかしいし知られたくなかったと思うのに
親から筒抜けで知らされる
誰もが通る道なんだからそっとしておいてほしいよ
本人はきっとショックだったり、驚いたのであろうから
心から強く思った
なぜ、大人になったことをわざわざ公表する意味があるのか?
私には理解ができなかった
生理が始まりませんように・・・と呪文のように唱えた
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