第55話

二人で一緒に決めた行先は、規模が小さめのキャンプ場。でも湖が見える自然が沢山あるとてもいいところだ。私もソロで何度かここには来たことがあるし、律希さんもデイキャンプで何度か一人で来たことがあると言っていた。




何よりも律希さんの実家からそこまで遠くないというのが一番の理由。もしも万が一、ミナちゃんが帰りたいと言った時のために…近場にしようと提案したのは私。





自分が楽しみたい気持ちよりもまずは、ミナちゃんの気持ちが最優先だというのは今も変わらない。私はミナちゃんからパパを奪うようなことをするつもりはないよ…っと、ちゃんと安心させてあげたかったんだ。





日帰りで帰るデイキャンプでも全然良かったのだが、律希さんの持っているキャンプ用品は有名なブランドの物で揃えられていて…焚き火台やオシャレなライトを見ていると実際に使用しているところを見てみたくて、、





「時間もあるし、絢音が嫌じゃないなら一泊する?」




っと言ってくれたので、その言葉に甘えて一泊することになってしまったのだ。今思えば初めて一緒に出掛けるのがキャンプでしかも一泊って…中々ハードル高いよな?





途中、ローカルなスーパーに寄ってキャンプで使えそうな食材を購入する。話しを聞いているとキャンプ飯は律希さんの方が得意そうだったので、食材選びは彼にほぼ任せて…私はお酒とおツマミの調達に専念した。





「絢音は本当に酒好きだな…結婚する前は居酒屋なんかにもよく行ったりしてたのか?」





車に戻り、キャンプ場までの道のりで飛んできた質問に首を縦に振って答える。





『私、恋愛とかにあまり興味がなくて…美味しいお酒とご飯をご馳走してくれるなら誰にでもついて行くような…そんなフットワークが羽のように軽い女の子でした』





別に隠すことでもないし、何もやましい事がある訳でもないので平然と答えた私に…律希さんは意外にもその会話を広げようと、質問を更に続ける。

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