第31話
まだ住んで間もない自宅に帰宅して…私の部屋のベッドにミナちゃんを寝たせた。ごめんね…っと心の中で謝罪しながら彼女の部屋に入らせてもらい、部屋着と下着を用意する。
着ていた制服を脱がせて、汗をかいている身体を、濡らしたタオルで軽く拭き取り部屋着を着せて寝かせる。
この一連の流れは先程の病院で看護師さんから聞いた自宅での看病プロセスの一環で…他にもお粥の作り方などを詳しく教えてもらった。
氷枕を頭の下に忍ばせ、おでこには冷却シートを貼り付けて…汗で張り付いた前髪を横に流してあげれば、苦しそうに目をギュッと瞑ったミナちゃん
──…情けない、
一番辛いのはミナちゃんなのに、パニクって狼狽えて…こんなんで一緒に住むなんて無理だよ私には無理、やっぱり無理だ、辞めよう…律希さんが帰ってきたら一言、、『別れて欲しい』って言って、終わりにすればいい。
私は悪くない…だって面倒は見なくていいと言われた。全て俺が面倒みるって…言ってた、、
「──…実夏っ?!」
突然、本当に突然…なんの前触れもなくいきなり…私の部屋にノックもせずに入ってきた律希さん。相当慌てたのか、いつもきちんとセットされている髪型が乱れている
「絢音っ…悪い、どうしても抜けられない打ち合わせが入ってっ─…」
言い訳や御託を並べるポンコツ律希の元に近付き、彼がそれ以上口を開くことの無いように部屋を追い出して自分も一緒に部屋を出た。
これから先、私が言うことをミナちゃんに聞かれるわけにはいかない。彼女が深い眠りについている今のあいだに─…私はこの男に言わなければならない事がある。
黙ってリビングに向かう私の後ろを着いてくるポンコツ律希が、リビングに足を踏み入れ扉を閉めたことを確認してから─…
バチン…っと、その無駄に整った顔面に平手打ちを食らわせてやった。
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