第28話
やがて、疲れ果てたように私の隣に倒れ込んで眠ってしまった凪砂の目尻から、ツーっと涙が伝ったのを見て、そっと指でそれを拭った。
ーーー・・・次の瞬間
「ーー・・・ゆぅ・・・かっ」
【⠀ゆ う か 】
苦しそうに顔をゆがめて、確かにそう呟いた凪砂。その瞬間私の中にあった凪砂への思いが急激に冷めきった感覚を今でも覚えている。
全裸で眠ってしまった凪砂に、そっと下着だけ履かせてあげて、私は静かに寝室を出た。
その時に床に散らばったゴムを回収して捨てたんだけど・・・空になった箱が転がっているのを見て、ヤッた回数よりも回収したゴムの数が少ないような気がしていた。
でも自分も途中から意識が半分飛びかけていたし、普段の凪砂の様子も知っているから・・・まさか中で出しているなんて夢にも思っていなかった。
それよりも、欲望のままに私を抱いたあと【優香】の名前を口にした凪砂のことを、少し憎らしく思ってしまった自分がいて、そんな自分が嫌になって・・・
この事は無かったことにしようっと、自分で自分の記憶に蓋をした。だから、翌日凪砂が目を覚ましたときも、私は嘘をついたんだ。
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